のはら園について

本園では、「強くたくましく型にはまらない野性味溢るる子どもに育てましょう」を園訓として掲げています。この園訓を具現化する一つの方策として園庭ビオトープの活用を積極的に進めています。園庭には「のはら園」と呼んでいる築山があり、バッタやトンボを追い求める子どもの姿が見られます。また、数多くの樹木が植えられ四季折々の花があり、せせらぎにはメダカやエビが泳いでいます。

のはら園は1998年に整備されました。当時はまだ緑やたんぼの多かった吉野でこのような園庭を設置することに対し「周りには自然がたくさんあるのに、わざわざお金をかけて整備しなくても」という声もありましたが、今や吉野は住宅密集地となり、のはら園の環境は大変珍しくなりました。以後、のはら園の環境は全国的な賞を受賞しています。

 

<受賞歴>
2009年 全国学校ビオトープコンクール 金賞受賞
2011年 全国学校・園庭ビオトープコンクール 日本生態系協会賞受賞
2013年 全国学校・園庭ビオトープコンクール 文部科学大臣賞受賞
2015年 鹿児島市「かごしま自然百選」に選定
2015年 全国学校・園庭ビオトープコンクール日本生態系協会賞受賞

 

整備の目的

のはら園はビオトープとしてできるだけ自然の姿に近づけ、その中で生き物と触れ合い、命の尊さに気付き、感性豊かな心の優しい子どもの育成をめざして整備したものです。
園児が四季の変化を感じ、生き物と主体的に関わることができるような環境を目指して1998年に隣接する保育園と併せて大規模な園庭整備を行いました。センダンやシマモクセイ(ナタオレ)などの既存の大木を活かし、常緑樹、落葉樹を計画的に配置植栽しています。また、地下150mの井戸を掘り、そこから50mの水路を作りました。
井戸から溢れ出る水は一気に水路を下り、やがて水草の間をせせらぎ小池を作り、そこには、メダカ、エビが泳いで子ども達の人気スポットとなっています。水路ではオニヤンマが毎年確認されています。
生態系的に安定した環境になるにつれ、年間を通して自然の動植物と接することができるようになってきました。年々子ども達の生き物への興味・関心の高まりを感じています。

 

自然との共存

ビオトープの整備にあたっては、地域の自然の生きものが訪れるのを待ち、飼育ではなく、自然の生きものが自立してくらす環境づくりをコンセプトに、長期的展望にたって年次的に進めてきました。作業を進める中で、のはら園という限られた範囲ではありますが、思った以上に多種多様の生物が存在していることに気付かされました。しかも、それらが互いに支え合って生きていることに、生物多様性の一端を垣間見る思いがします。

 

命を学び感性を磨く

子どもたちは、遊び空間として日常的に園庭ビオトープに接しています。メダカをすくったりトンボや蝶を追いかけたりといった光景が繰り返されています。このように、小さな生き物との楽しい出会いがいっぱいの「のはら園」ですが、悲しい現実を目の当たりするのものはら園です。オニヤンマも、すべてが順調に羽化するわけではありません。最後の最後にヤゴの糸がからんで、飛び立つことができないトンボもいます。外敵がいっぱいの自然界ではそれは死を意味しています。

子どもたちは、生態系や生物多様性を意識しているわけではありませんが、つかまえたバッタやトンボ、ダンゴムシ、小川ですくったメダカやエビを一匹残らず必ずもとの居場所に返しています。それはのはら園のルールとして、年長児から年少児へ代々受け継がれています。

園庭の草本・樹木に季節の移ろいを感じ、日々の小さな生き物との触れ合いから、子ども達はたくさんのことを学んでいます。

「チョウやトンボ、バッタなどの昆虫をつかまえたこと」
「太陽が昇るところや沈むところを見たこと」

といった自然体験が豊富な子どもほど、道徳観・正義感が強いことは種々の調査からも明らかになっています。

一朝一夕にそのような資質能力が備わるわけではありませんが、子ども達は、自然との関わりの中で心も体も大きく育ち、園訓でもある「型にはまらない野性味溢れるこども」への手応えを感じることが多々あります。

五感をフルに使い、自然体験を通して「生き物の命」に気づき、感性豊かな心優しい子どもの育成に資するところ大であると感じています。今後とも吉野の自然を活かし、命を学び、感性を磨く場としてのビオトープ活用を進めていきます。