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2022.07.12

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園内研修~性教育は0歳からはじめましょう~

6月25日土曜日に「性教育」についての職員園内研修をしました。

人権教育やその他の研修等で「性教育」について触れ、学ぶことはありましたが、今回は「性教育」を改めて考え、”錦ヶ丘としてどのような性教育をしていくか”考える機会にしました。

 

 

〇 性教育ってどんな教育で、なぜ必要なのかを学びました。

 

性教育とは、性に関する知識やスキルだけでなく、人権やジェンダー観、多様性を踏まえて、「どうしたら自分も他の人も幸福に生きていけるか」を学ぶための教育です。

「幸福に生きていけるかの教育」では、とても抽象的すぎるので、具体的な内容を知るために、2009年にユネスコ(国際連合教育科学文化機関)が発表した「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」を基に、内容について学びました。

 

「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」は、以下の8つのキーコンセプトで段階的に幅広く性について学習し、日本では、「包括的性教育」と言われています。

1 人間関係

2 価値観、人権、文化、セクシュアリティ

3 ジェンダーの理解

4 暴力と安全確保

5 健康とウェルビーイング(幸福や喜び)のためのスキル

6 人間の身体と発達

7 セクシュアリティと性的行動

8 性と生殖に関する健康

 

私達保育者が学んできた性教育は、6~8のキーコンセプトが印象に残る、いわゆる”知識を学ぶ教育”でした。しかし、1~5に関する”生きていく上で必要なスキルを身につける学習”や、お互いの意見を交わすことで違いを認めたり、自分の価値観を築いたりする機会が少なかったということを、今回共有しました。

 

また、どうして性教育は必要なのかについては、「自らの身体や心の変化を学び、理解し、性的な自立をし、自分の人生にいかしていくため」と学び、その上で昨今の日本の性に関する課題(性暴力、ジェンダー差別、予期しない妊娠、性的虐待etc)があることも共有しました。

 

 

〇 性教育の内容は、どんどん変わっていき、子ども達だけでなく、私達大人も必要であること。

〇 性に関する課題の背景には、インターネット機器の普及、ネット社会での不確かな知識のまん延、SNSによる見知らぬ人とのつながりがあることを知り、メディアリテラシー等を含む幅広い性教育が大切であること。

 

私達は保育者として、「自分を大切に、周りの人を大切にできる人に育ってほしい。子ども達が今から生きる世の中が安全で安心なものになってほしい。」という思いから性教育は必要だと再認識しました。

 

 

 

〇 日本と世界の性教育と、性交同意年齢について

日本の性教育の歴史だけではなく、諸外国の性教育として、オランダと韓国の性教育についても学びました。

それぞれの国の文化や政治の状況によって、教育の在り方は変わります。

日本は、「性に関する知識だけを学ぶことが多く、考えさせ、意見を通い合わすことが少ない教育方法」であること、また、「集団では性交は教えないという考え方」であることも学びました。

 

 

また、性交同意年齢は、アメリカやイギリスなどが16歳~18歳であることに対して、日本が13歳という低年齢であることを初めて知る職員も多くいました。

日本の性教育があまり先進的できないことに対し、この年齢にはびっくりした職員が多く、子どもが性犯罪の被害者にならないことを願いつつ、性教育をしていくことの大切さや、性交同意年齢の低さを話題にしていくことの大切さも感じました。

 

 

 

〇 錦ヶ丘での性教育って?

 

研修後半で、『性教育はいつから始めた方がいいと思うか』、職員同士でディスカッションをしました。

 

0歳、3歳、5歳…等、いろいろな意見がありましたが、

養護教諭から「錦ヶ丘はすでに0歳から性教育していますよ」と言われ、職員全員が唖然とした表情。

 

例えば、身体に触れる時は、「○○さん、オムツ替えるから、身体を触るね。」「鼻水がでてるから、鼻をふくよ。」

着替えをする際は、「自分でできるかな?お手伝いしようか?」「自分の大切なところは見せないようにしようね。」等、子どもに声をかけて接していますよね。と言われると、職員全員が「うんうん」と。

 

 

錦ヶ丘では、子ども達の身体に触れる時に、子どもの気持ちを大切に接し、心地よいタッチを少しずつ感じてもらいます。

不意に身体を触られたり、自分が触られたくない時に「NO」と言えるよう、必ず子どもの同意を得ます。

これは、とっても大切な性教育です。

 

その他にも錦ヶ丘では、「園保健安全計画」に沿って、下記の通り年間を通じて性教育をしていきます。

・4~6月   プライベートゾーン

・7~8月   男の子、女の子

・9~12月 男の子だから、女の子だから

・1~3月   4月~12月の内容の復習

 

 

 

〇 明日から性教育って何ができる?

 

性教育の研修後、次のような職員の感想がありました。

 
 〇 大人も子どもも、自分の身体って大事なんだよということを子どもたちに伝えていきたい。また、性についての問題、身体の問題で困っていることや悩んでいることを打ち明けてもらえるような保育者になりたい。

 〇 保護者も私たち保育者と同じ性教育を受けていると思うと、同じように戸惑っていると思う。保護者にも、家庭でもできる性教育を伝えていきたい。

 〇 大人が子ども一人一人の体を大切に扱う事で、自分の体が大切だと思える関わり方をしていく事が大切。子ども達自身が自分の体や友達の体を大切にし、よりよく豊かに生きていくための基礎を、教える教育ではなく一緒に考える教育として取り組んでいきたい。絵本などを活用していきたい。

 〇 年齢に応じて身体の仕組み、命の仕組みを伝えていく事はもちろん、子どもたちが自分のことを大切だと思えること(自己肯定感を育む)、相手のことも大切だと思える(違いを認める)ように、日々の保育の中で子どもたちに対して丁寧な関わりをしていきたい。そして意識的に時代の変化に伴う性教育の変化についても学び続けたい。

〇ぜひ、おうちの方とも一緒に性教育について学んでいきたいです。


子ども達のために、私達大人が「科学的な性教育、時代にあった性教育を学んでいきましょう。
錦ヶ丘では、性に関する保護者向けの本や子ども向けの絵本の充実を図り、保護者向けや絵本の読み聞かせ等動画配信もしていく予定です。
書籍や動画の準備ができましたら、お知らせしますので、楽しみにしていてください。
文責:壽福

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