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2022.07.30

Blog

大人と子どもの関わりを考える(2・3歳児だより)

しゃくとり虫が草の上をにょきにょき移動してる真っ最中。

くるみ組(2歳児)の男の子がしゃくとり虫を見つけた時のつぶやきです。

 

男の子:「これなぁに…?」

私:「なんだろうねぇ。」

男の子:「みてみて…すごいねぇ…」

私:「ほんとだねぇ…」

 

このやりとりから皆さんは何を感じますか?

 

 

教えたい!・伝えたい!・知ってほしい!

ついつい私達大人は今までの経験から色々な事を教えたくなります。

「これはしゃくとり虫って言うんだよ!」

「すごいね、可愛い虫だね!」

私も5年ほど前まで子どもが感動している場面に出会った時、自分の感想や知識を伝えていました。

そして、それがいいことだと考えていました。

しかし…そうではないようです…。

 

子どもが主体とは?

さて、認定こども園錦ヶ丘が行ってる保育は”子どもが主体”の保育です。

 

では、子ども主体とはどのようなことでしょうか。

保育所保育指針(保育の基本となる考え方や保育内容が定められているもの)解説の中で、汐見稔幸先生はこう話されています。

「『子ども主体の保育』というのは、それぞれが好きなだけ好きなことをやればいいという意味ではありません。自分でやりたいことを見つけて、方法を考えて達成していくこと。その自主性や主体性を園で育てていこうというのが趣旨です。」

”子ども主体と集団生活の関係性より一部抜粋”https://hoiku-is.jp/interview/detail/4/

 

 

 

子ども自らが発見し、感動し、伝えたいという喜びをもって人と関わる事。その積み重ねがもっと知りたい、学びたい!の基礎に繋がると考えます。

 

 

教え続けることで生まれる課題

水道の蛇口をひねっている子どもに大人が「水を出して」と言っていませんか?

靴を履こうとしている子どもに大人が「靴を履いて」と言っていませんか?

 

園では気を付けている私も、家ではついつい子どもの行動を先取りして伝えている現状に気づきました。

当たり前の事なのに、今しようとしている事なのに…。

我慢できずに教えてしまう。伝えてしまう。これを続けているとどうなるのでしょう…

 

その答えは一択。”考える習慣が持てない子ども”になりがちです

 

 

主体的とは真逆の ”考える習慣が持てない子ども”

考えないということは、指示を待つ子ども。

指示を受けて失敗すると「○○が言ったからでしょう!」と、人のせいにする子どもたちが育っていきます。

 

言われるがままに動いていては、常に受け身。

自分から何かに挑戦しようとする気持ちが育まれません。

 

やってみたい!という好奇心を育てるためには、まずは子どもが物事を面白がること、興味を持つ事。

そして、大人はその発見に共に喜び、感動し、見守ることなのではないでしょうか。

 

今私達にできること

私達保育者は、今の子どもたちの成長に寄り添い、見守りながら、10年後・20年後にどのような姿になってほしいかを思い描きながら保育を行っています。

 

本園は ”強くたくましく、型にはまらない野性味溢るるこどもに育てましょう” という園訓を掲げています。

この園訓にもあります”野性味”とは、野蛮・荒々しいという意味ではなく、どんな困難に直面しても、それを自分の力で乗り越えようとする、しなやかな心を育みたいという願いが込められています。

 

子どもたちは集団生活の中でいろいろ困難に直面します。”友達とおもちゃの取り合いをした。”・”欲しいおもちゃが使えなかった。”時には泣いたり怒ったりしながらいろいろな経験をしていくでしょう。しかし、この経験は相手がいるからこそ生まれる感情です。

物事に関心を持ち、調べてみようとする力を育み、友達と触れ合う中で相手にも気持ちがある事を知っていきます。全て大切な経験です。

大人が転ばぬ先の杖を出し続け、子どもの経験を奪うよりも、子どもたちが得た知識や経験を共に感動し、悲しみ、次への一歩を踏み出せるような関りをしていくことが、大人の私達に出来る役割だと私は考えます。そして、その関わりこそがその子にとって本当に幸せな人生を歩むための一歩になるのではないでしょうか。

 

 

今、私たち大人が出来る事、親としてできる事を考えていきたいですね。

錦ヶ丘の子どもたちは毎日の発見を常に喜び、感動し、友だちへ、大人へ、家族へ伝えようとする姿が見られています。その瞬間を大切に受け止め、「そうだったんだね。」、「素敵だね」と、受け止めていく毎日を大切にしていきます。

 

 

文責:水之浦

 

 

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