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2022.10.26

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映画『こどもかいぎ』を観て

先日、『こどもかいぎ』という映画を観ました。

 

画像引用:https://www.umareru.jp/kodomokaigi/

 

この映画は、関東の とある保育園の年長組の1年間を追ったものです。

その保育園で新たな取り組みとして始まった、子どもたちが輪になって自由に話し合う「こどもかいぎ」は、5〜6人の子どもと、1人の大人で行われます。

そこで議題となるのは、「この夏楽しみなことは?」「最近面白いと思ったこと」等の子どもらしい疑問から、「人はどうして生まれてくるんだろう?」等の人生哲学的なテーマまで多岐に渡ります。

 

子ども達のいきいきとした表情や言葉、そこに携わる大人の思いに、見ている私も感情が沢山動き、あっという間にエンドロールの時間を迎えていました。

 

対話に答えは必要?


映画を観て私が驚いたのは、『“こどもかいぎ“の中では必ずしも答えを出していないこと』でした。

 

錦ヶ丘でも、“サークルタイム“と呼ばれる対話の時間をつくっています。子ども達一人ひとりの思いが溢れるこのサークルタイムが、私は大好きです。そのサークルタイムの中に“議題“を設ける時、どうしても私は答えを出そうとしてしまいがちでした。

しかし、映画の“こどもかいぎ“の時間では、とにかく子ども達の考えを出し合うことに徹し、少なくとも映画に出てくるかいぎでは、特別に一つの答えを出すことをしていませんでした。

一人ひとりの「わたしは〜思う!」を聞き、「それってさぁ…」「なるほどね!」と、どんどん会話が広がっていく、そんな展開ばかり。

 

“かいぎ“と聞くと答えを求めてしまいがちですが、そこに拘らず、とにかく思いを出し合うこと、聞き合うこと、そこが対話の第一歩なのだなぁと感じました。

 

 

大人の役割


“こどもかいぎ“の中での大人の役割は、ファシリテーターです。

大人は子ども達の意見を聞くと、「確かに!」「素敵だね」「〇〇かぁ〜!それは思いつかなかったなぁ!」といった言葉を沢山かけていました。

時には、ご家庭の様子が赤裸々にわかるような、聞いていてタジタジになる話をする子どももいます。そんな時にも、大人のものさしで評価したり、話を遮ったりことはなく、子どものありのままの言葉をまるっと受け止めていたのです。

子ども達の「私の思いも聞いてほしい!」という気持ちがどんどん高まる関わりだなぁと感じました。

 

 

また、自分の思いを言葉で伝えるのが苦手な子どももいます。

そんな子どもにも大人は急かすことなく、目の前で友達が言葉を発し大人が受け止めていく環境の中にいる経験を重ね、その子のタイミングをじっくり待つことで、思いが溢れたとき、とてもキラキラした表情で自分の言葉で思いを伝え始めていました。

 

錦ヶ丘でも、子どものありのままの表現や思いを受け止めることや、一人ひとりのタイミングを待つことを大切にしています。改めて、大人は子どものサポーターであり、子ども達一人ひとりのことを見つめていきたい、そして、その子自身をまるごと受け止めることを大切にしていきたいと思いました。

 

 

 

ピーステーブル


子ども達は、よく喧嘩をします。

そんな喧嘩こそ、対話の時間です。

 

映画の中の保育園では、喧嘩になると“ピーステーブル“という場所で意見をぶつけ合っていました。喧嘩が始まった場から離れて、机を挟んで対面になり、「ぼくは〜」「わたしは〜」で“自分の“意見をぶつけ合うのです。その姿は圧巻で、「私は喧嘩をした相手にこんなに面と向かって自分の思いを伝えられるだろうか…」と、自分を振り返るほどでした。

 

5歳の子ども達も、場を変えるだけで、少し冷静になって話をする姿がありました。大人も参考になる環境ですよね。このピーステーブルでの対話の経験を重ねて、相手の思いに気付いたり、理解していったり、相手を思いやる心が育ったりするのだと感じました。

 

映画の中の様々な場面で、錦ヶ丘の日常を思い出しながら、普段保育の中で自分達が心掛けていることは間違ってはいないのだと改めて感じました。

それと共に、大人の私たちはどうだろう?と考える時間にもなりました。

 

私たち大人は、自分の思いを相手に伝えられているのでしょうか?

相手の言葉に耳を傾けて、きちんと受け止めているのでしょうか?

「あの人は私と考えが合わないから嫌いだな」「どうせ言ったって…」「自分が我慢すれば…」そんな思いのままでいいのでしょうか?

 

特に今年一年、こども園では職員も”対話”を大切にしています。

年齢や立場に関係なく、自分の思いを伝え、相手の思いに耳を傾ける機会を多く取り入れています。

みんなで話をすることで、方向性を合わせ、より保育を深めることに繋がっていると感じます。

 

 

対話ってなんだろう?

大人の役割ってなんだろう?

そもそも、大人はどうなんだろう?

 

大切なことを、映画の中の子ども達から沢山学ばせてもらった気がします。

錦ヶ丘の子ども達からも、沢山の言葉を引き出せるよう、そして、「伝えるって楽しい!人の話を聞くって面白い!」という心が大きく育つよう、まずは大人の私たちが対話を深めていきたいと思います。

 

ぜひ、沢山の方に観て頂きたい映画です!!機会があれば、ご覧ください。

ホームページに載っている予告編だけでも、ものすごいパワーですよ!

★今週いっぱいまでマルヤガーデンズシネマで上映しています!上映情報はこちら

 

参考・引用:映画『こどもかいぎ』オフィシャルサイト https://www.umareru.jp/kodomokaigi/

 

 

文責:迫田

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