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2023.01.16

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市長との意見交換会に参加して ~錦ヶ丘で働く強み

12月23日(金)に、鹿児島市長と保育士等の意見交換会に参加させていただきました。

当日は、9名の保育士・保育教諭が参加し、下鶴隆央鹿児島市長に保育現場の実態や鹿児島市に求めること等をそれぞれお伝えしました。現場の生の声を聞いていただける、とても貴重な機会となりました。

 

今回は、意見交換会を通して感じた、保育者として働く上での錦ヶ丘の保育現場の強みについて、お伝えしたいと思います。

 

国の基準以上の職員配置によるチーム保育

国が定めた職員一人当たりの年齢毎の子どもの数があり、“配置基準”と呼ばれています。

画像引用:https://www.nhk.or.jp/shutoken/wr/20221004a.html

 

錦ヶ丘では、各学年の保育者数を、国の配置基準よりも1~2名多く配置しています。そうすることで、子ども達の声や思いをより細やかに聴き取り、保育の充実度を深めることができると考えています。

また、クラス・学年はもちろん、園全体を一つのチームとして考え、クラスや学年にとらわれず、様々な職員が様々なクラスの保育に入ります。そうすることで、園全体で子どもを見る、一人で保育を考えずにみんなで保育や子どもの育ちについて考える体制づくりにつながっていると感じています。

 

不適切保育から考える配置基準

最近多く報道されるようになった、様々な不適切保育のニュース。見聞きする度、様々な気持ちになります。

子どもの心に傷を負わせてしまうことは決してしてはならないと思う一方で、同じ保育の現場で働いている立場からすると、子どものことを愛おしく思う保育者がそのような関わりをしてしまう背景には、何かあるのではないかと思わざるを得ないのも事実です。

その大きな柱となっているのが、保育現場の実態に合っていない国の配置基準だと考えています。この配置基準、なんと70年以上も見直されずに、今に至っているのです。

 

0歳児は、泣くことで思いを伝えることが当たり前。そんな0歳児が、3人一斉に泣き出してしまったら…

1歳児・2歳児は、自我の芽生えと共に、言葉で上手く思いを表現できないが故の噛みつきや引っ掻きが発達の中で見られることが当たり前。そんな1・2歳児6人を、一日朝から夕方まで一人で見守るとしたら…

 

いくら保育の専門家とは言っても、私たちも人間なのです。大人がいっぱいいっぱいになってしまっては、子ども達にとっても良いことは何もありません。

国の基準よりも多く職員を配置し、チームで保育を行うことは、子ども達のためになることだけではなく、職員の気持ちと体力のゆとりがうまれることにもなると、錦ヶ丘で保育をしていて思います。

子どもの思いを全力で受け止めていると、保育経験の長さに関わらず、どんな職員でも必死になるが故に視野が狭くなり、『もう!!』と負の感情を抱えてしまいがちに…  保護者の皆様も、日頃お子様といる時に、そのようなことがあるかもしれません。

全力で気持ちをぶつけてくる子どもへの対応を行った後は、「あの時の関わりはあれで良かったのだろうか…」と、その日ずっと振り返り考えています。それくらい、子どもに向き合うとはものすごいエネルギーを使います。

 

そんな時には、近くでみている職員が「対応代わるよ!」と声を掛けます。一対一で対応し続けないことで、子どもにとっても気持ちが切り替わるタイミングになったり、職員も一人で抱え込まないでいられたりします。

子どもも、対応する職員も、みんなのことを守ることができる、まさに”チーム保育の強み”です。

 

 

ICTの活用・対話の時間

保護者の方との連絡ツールや、職員間の情報共有としてアプリを活用しています。

アプリを使うことで、連絡帳記入やお知らせの作成などに、手書きの頃よりもずっと効率的に取り組めるようになりました。その分、空いた時間を子ども達と関わる時間や、保育を深めるための話し合い等に活用しています。

錦ヶ丘では、話し合いの時間を大切にしています。子ども達同士もですが、大人同士の対話の時間です。

経験年数や職種に関係なく、「あなたはどう思う?」「なるほど!」「じゃあこうしてみよう」という言葉が飛び交う”対話”。思いを交わすことは、より良い保育を考える上で不可欠です。

 

また、園内のパソコンやiPad、iPhone等の端末機器は、同じクラウドで管理されています。どの端末からでも同じデータにアクセスができることで、事務作業の効率化が進み、残業や持ち帰りの仕事もほぼありません。

仕事とプライベートの時間がしっかり区切られることで、家族との時間や自分の趣味を大切にしたり、心や体を休めてリフレッシュできたりします。職員がしっかり休むことは、子ども達への丁寧な関わりに繋がっているのです。

 

 

日々の保育や行事の見直し

2018年の『幼保連携型認定こども園教育・保育要領』の改訂をきっかけに、錦ヶ丘も知識を得る・大人主導の保育から、子ども達の興味・関心をもとにした主体的・対話的な保育に大きく切り替わりました。

もちろんいきなり全部を変えたのではなく、対話の時間『サークルタイム』や、子ども達が選ぶ機会の一つである『コーナー保育』等、少しずつ試行錯誤しながら取り入れていきました。

また、保育活動の検討に伴って取り組んだのが行事の見直し。ちょうど幼稚園型認定こども園から幼保連携型認定こども園に移行するタイミングでもあったため、働く保護者が増えることや0歳児から在園すること等をもとに、運動会等の大きな行事から、参観、誕生会等日々の中の行事まで、「なんのためにするのか」の目的を改めて話し合い、“子どものため”を中心に、より良くする方法を考えてきました。

『錦ヶ丘の行事は、日常の延長線上にある』とよく表現します。日常を大切にすること、日常の中での経験や育ちが、これからの子ども達にとって必要な力になると考えています。

 

 

 

今回の意見交換会は、鹿児島市の待機児童緊急対策室が主催となって実施されました。

待機児童を減らすためには何ができるのかを、市が必死に考えている中で、保育の現場に目を向け、保育に関わる人がどのようにしたら確保され、専門性を発揮することができるのかというところを考えてくださっていることを強く感じる時間となりました。

市長は「保育士は代えがきかない仕事。保育現場で働く皆さんの専門性を活かすためにできることを考えたい。」と、何度も話してくださりました。現場で日々保育を行う職員の姿を浮かべながら、私達の思いはきっと伝わっている!!と、改めて子ども達のために頑張っていきたいと身が引き締まる思いになりました。

 

子ども達のためには何ができるのかを考える根底には、子どもに携わる大人がどのように日々を過ごすのか、だと、現場で働いていて強く感じる日々です。

保護者の皆様をはじめ、地域や社会全体で保育について考えることが、子ども達、つまりは私たちの未来について考えることになると思います。

年齢、立場関係なく、沢山の人達で「私はこう思うよ」「あなたはどう思う?」「そういう考えもあるね!」と、対話を通して考えや思いを伝え合っていけたらいいですね。

 

子ども達のため、保育の専門家としてできる最大限のことを発揮するために。まずは子どもに関わる私達保育者が日々を健康で過ごせるよう、さらに工夫できることはないか?

これからも引き続き考え、取り組んでいきます。

 

文責:迫田

 

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