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2024.09.19

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子どもの自立とは…?

子育て四訓
乳児期は肌を離すな。
幼児期は肌を離せ。手を離すな。
少年は手を離せ。目を離すな。

青年は目を離せ。心を離すな。

皆さんはこの言葉をご存知でしょうか。これを提唱されたのは、山口県下関市の教育者である「緒方 甫」さんという方です。
私が長男を出産後すぐこの言葉に出会い、忘れてはいけないと思った言葉でした。

先日、母校である鹿児島純心女子短期大学のオープンキャンパスに行き、幼児教育に携わるということはどういうことか、この仕事のやりがいや大変なことについて、話す機会をいただきました。将来の分岐点が近づいている、高校1年生から3年生の子どもたちとの出会いを通して、改めてこの言葉について考えました。

自立を促すとは⁇

読んで字のごとく自分で立つと書きます。
自立してほしい。自立を促していきたい。という言葉はよく聞きますが、具体的にどのようにすれば自立を促すことができるのでしょうか。一定の年齢になれば自立するのでしょうか?
子どもと関わる保育者の立場で、自立を促す関わりとはどのようなものか、こども園での生活に置き換えながらお話をしていきます。

0・1・2歳児の自立

0・1・2歳児を保育するうえで私たちが大切にしている事は、子どものありのままの姿を受け止め、感じたこと、見たことを代弁することです。
子どもが指差しをして何かを見つけた時、「〇〇だね。」「きれいだね」など、必ずその思いを受け止め、共感します。
泣いている時は、「悲しいね。」「お腹がすいたのかな⁇」と気持ちを代弁します。

なぜ私たちはこのような対応するのでしょうか。それは子どもに受け止めてもらえたという安心感や、そういう気持ちだったのか!と、自分の気持ちに気づいてほしいという願いがあるからです。

この気持ちは、私を大事にしてくれている。この大人と一緒にいると楽しいという安心の土台になり、安心感を抱いた子どもは、友達と関わろうとしたり、初めて見た大人でも近づいてみようとします。そして、はいはいやつかまり立ちなどの身体的な自立へとつながっていきます。

さらに保育者が「おててで食べていいよ。」「お洋服を脱いでみようか?」など、食事介助や着替えて気持ちがよかった!など、生活を心地よくする関わりをすることで、「次は自分で食べてみたい。」「自分で着替えてみたい!」という意欲を引き出すことができます。

この時期に大人が子どもの声に寄り添い、一人ひとりの思いを受け止めることが何よりも重要な自立へ向かうための関わりです。

3・4・5歳児の自立

3・4・5歳児になると、保育者が手伝うことがなくても、着替える、排泄をするなどの基本的生活習慣が身に付き、自分で自分のことができるようになります。
自分の気持ちを相手に伝える、相手の気持ちを聞こうとするなどの精神的な自立が見られるのはこの時期からです。

精神的な自立は、保育者が寄り添うだけでなく、「その言葉を伝えると、相手は嬉しい気持ちになるね。」「お友達怒っているかな?」など相手の感情に気づかせてあげるような関わりをすることが必要です。保育者は決して感情的にならず、代弁者として伝えることがとても重要です。

子ども同士が気持ちを伝え合っている場面では、見ているよ。大丈夫だよ。という温かい眼差しもを送ることを心がけています。

また、この頃から「ご飯の準備をしておいで。」という大人の一言で、”トイレに行く→手を洗う→水筒を持つ。”などの先を見通し、自分で考えて行動することができるようになります。

あれして!これして!と細かく言うのではなく、自分で考えることを促す言葉かけをするように保育者は心掛けています。

 

ここまでこども園の幼児期における自立について話をしてきました。

では、この後小学校、中学校、高校で子どもたちはどのような変化を見せていくのでしょうか。

 

小学生

就学前になると自分で学校に歩いて行けるだろうか、友達を作ることができるだろうかなど、保護者の皆様も不安があると思います。

小学校に入学したからといって急に歩いて学校に行けるのではありません。保護者と一緒に学校まで歩く練習をする。自分の荷物は自分で持つなど日頃から練習しておく等、少しずつ練習をすることで、子どもたちは心の準備を整え、安心して小学校へ就学することができます。
こども園では就学を控えた年長組の保護者を対象に”就学前にやっておくと良いこと”を紹介する動画や、子どもと一緒に取り組める心と体の準備が具体的にわかる内容をお伝えしています。

新しい環境に向かう保護者や子どもたちをサポートするのも私たち保育者の務めです。

中学生

先日、本園卒園生の保護者の方がお見えになって、中学校の時の反抗期がすごかった。とても大変な思いをした。という話を伺いました。
反抗期は子どもたちが成長するうえで大切な心の成長の表れですが、保護者にとっては、それが辛く悲しい毎日だったということもよく聞きます。そのように話をされる方が口をそろえておっしゃるのが、「幼児期の時間をもっと大切にすればよかった。」ということです。

大人も自分優先になっていたり、子どもの話を片耳で聞き流してしまったりすることもあると思います。そんな時にこの言葉を思い出して、いつか後悔しないよう、今の時間を大切にしたいですね。

将来の選択をする

高校生・短大・大学になると、将来自分がどういう仕事につきたいか、どういうことをやりたいか、自分で決める時がやってきます。
先日お伝えした母校のオープンキャンパスでは、高校1年生から3年生までの学生と保護者120名ほどが参加していました。
「将来保育士になりたい」「栄養士になりたい」「今まだ夢がない」など、様々な学生がいました。友達と一緒に来ている子、保護者と一緒に来ている子。みんなどこか不安そうな表情をしていました。
講師として私たちが伝えたことは、将来を決める大事な1歩だと緊張しているかもしれないが、人生100年時代、その中のたった2年間だと思うと、この2年間、自分はどういう場所で学びたいか、自分で決めて自信を持って生活をしてほしいということでした。
そして保護者の方には子どもたちが選んだ道を否定せず、応援してあげてほしいということを伝えました。

子どもが自分で選択する場面を尊重しましょう

ここまで年齢ごとにお話ししてきましたが、成長するということは、自立をしていくということです。
自分の力で歩んでいくためにいろいろなことを考え、日々試行錯誤しながら生活をしています。それを支える大人の私たちは、子どもに対する関わりがとても重要です。

「次は右です。」「次は左です」と大人がルートを決めるのではなく、自己決定を楽しんだり悩んでいる姿を温かく見守り、時には「大丈夫だよ」と支えながら子どもが自分の力で歩もうとしている姿を見守っていきましょう。

文責:水之浦

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