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2024.09.19

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自然物から広がるままごと遊び(3歳児 年少組)

近頃、年少組では、ままごとに植物や水を取り入れて遊ぶ活動をしています。ままごとの中に植物を出すと、植物の葉をちぎって、鍋の中でかき混ぜたり、実をすりつぶして色を出したりして、工夫しながら遊ぶ姿があります。

今回は、なぜ遊びの中に植物を取り入れているのか、ままごとで子どもたちのどのような姿を引き出したいのかを、「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」と結び付けながらお伝えしていきます。

 

「幼児期の終わりに育ってほしい10の姿」とは、幼児期の終わり、すなわち小学校入学までに育んでほしい姿や能力の目安を示したものです。

10個の項目それぞれを取り出して指導するための物ではありませんが、子どもの成長を振り返る際に10の姿を目安にすると、今後の保育の方向性やかかわり方が明確になっていきます。

 

 

10の姿「協同性」

これまでの子ども達は、友だちと同じ空間を共有したり、友だちを認識したりという段階でした。年少の3~4歳の間の人間関係の発達は、友だちとの関わりが増えて、「一緒に遊びたい!」という気持ちが出てくる段階に入っていきます。

ままごと遊びの中でも、役になりきって友だちと会話をしたり「一緒に遊ぼう!」 「これ貸してー」とやりとりする姿が見られます。今は自分の気持ちを言葉で表せずに、手が出てしまったり、相手の気持ちがわからずに怒ったり泣いたりすることもあります。しかし、このやりとりを繰り返していく中で、互いの思いや考えを共有して、共通の目的を実現するために協力したり、工夫したりすることができるようになっていきます。

 

 

10の姿「自然との関わり・生命尊重」

ままごと遊びは、既製のおもちゃで遊ぶ事もありますが、あえて植物を出して、間近で触れることで「なんか葉っぱに毛が生えているよ!」「いい香りがするね。」と、色々なことに気付く姿があります。自然物に触れることで、好奇心や探求心を持って考えて言葉で表現できていることを感じます。

しかし制限なく葉や花を摘んでそのまま放置すると、しおれたり枯れたりしてしまいます。そういった経験を通して、子どもたちは命の大切さや、自然の大切さを知ることができます。自然物に触れて遊びに取り入れることが、生命や植物を尊び、その後の科学する心や生命に関する教育の大切な基盤になります。

 

 

10の姿「思考力の芽生え」

子ども達は植物に触れる中で「なんで色が違うのかな。」「これ本で見た事ある!」と、気づいた事や疑問に思ったことを伝えてくれます。その後図鑑を開いて「あ!これさっきのと同じだね!」と言う姿もあります。

なぜだろう、どうしてそうなるのだろうと考える事で、物事を探究する『科学する心』が芽生えます。それはいずれ、物事について良く考えたり、調べたりする習慣になっていきます。VUCA時代(物事の不確実性が高く、将来の予想が困難な状況)を生きていく子ども達にとって、思考力の基礎を育てることは非常に重要なものになります。

 

10の姿「豊かな感性と表現」

既製品のおもちゃ(食材や食べ物をかたどった物)を使って遊ぶままごとは、その物の概念にとらわれがちですが、植物を遊びの中に取り入れると「この葉っぱは黄色いから、卵にしよう!」「この形は、ハンバーグに見える!」と色々な物に見立ててイメージしながら遊ぶ姿や発言がよく見られます。様々な素材に触れる中で、その素材の特徴や色々な遊び方について気付くことができ、素材をおもちゃにすることで、物事を色々な面から見たり、型にはまらない発想を持つことができるようになったりします。保育者がその時の子ども達の発想や、工夫に気付いて受け止めていくことで、子ども達の自信にも繋がっていきます。

 

私たちは子ども達が思う存分、楽しみ、考えたりすることができるように環境を整えるサポートをしています。そうすることで、子ども達は遊びの中で上記のような姿が育まれていきます。

一つの遊びの中にも、子ども達の様々な成長があります。これからも遊びの中の子どもたちの呟きや、素敵な発想を見逃さず、成長を促せるような関わりをしていきます。

 

参考文献:無藤 隆 2017年告示版 「幼保連携型認定こども園教育・保育要領ハンドブック」 Gakken

 

文責:唐仁原

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