お知らせ
2024.11.11
Blog
園庭遊びと『10の姿』の繋がり
幼児教育においては、遊びを通しての総合的な指導が必要とされています。
私たちの保育はカリキュラムを基に、生活や学びを『環境・言葉・人間関係・健康・表現』という5領域で分け、「どういう気持ちや意欲が育っているか」「どういう態度が育ってきたか」というように子どもの育ちを捉えています。
楽しそうに見える活動も、ただ遊ばせているだけではなく、活動ごとに”ねらい”と”達成してほしい姿”を予想し、保育を計画しています。
「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」という具体的な子どもの姿が示され、保育所・幼稚園・認定こども園・小学校において共有されています。
今回は、園庭での遊びを、「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」の4つ(5領域では「環境」に分類)の視点からお伝えします。
自然との関わり、生命尊重
てんとう虫を見つけた年中組(4歳児)の子ども。
手のひらを這う、てんとう虫の様子を優しい表情で見つめ、そっと触りながらて関りを楽しんでいました。
ここで見られる姿は、小さな命も大切に扱おうとする、10の姿の中にある『自然との関り、生命尊重』につながる姿です。
「大事に触らないとつぶれてしまうよ!」と、子ども同士声を掛け合いますが、「私も触りたい!」と沢山子どもが集まってきます。
自分の気持ちを言葉で伝えながら、どうやったらみんなで遊ぶ事が出来るか考え、遊びを発展させようとします。
「みんなで遊ぶならてんとう虫のお家を作ろうよ!」とA君。
思いを伝え合う中で、自分の思いばかりを通していても、相手は不快な気持ちになることに気付き、みんなで遊べる方法を提案した様子。
虫と関わりたいという気持ちを抱き、それを大切にしようとする姿は、小さなものにも命があるということを知っているからこその姿です。その後もどうやったらお互いがイメージする家が作れるか、虫を大切に扱うことができるか、相談しながら遊び込む姿が見られました。
思考力の芽生え
のはら園にあるたくさんの自然物。
「この花なんだろう…」もっと知りたい!もっと見てみたい!と思った子ども達は、保育者が準備した図鑑を手にとって調べます。
この姿は小学校以降の学習の理科や国語の学習につながります。
わからないことがあったら調べたら良い!知ることは楽しい!という経験を重ねることが、学びに向かう力を育てます。
数量や図形、標識や文字等への関心、感覚
「この実ね、うなぎにかけたらおいしいんだよ」と持ってきてくれた、年中組の子ども。
生活で経験した事がすべて子ども達の学びとなり、遊びに繋がっていきます。
「よく見つけたね。何個あるかな?」と聞くと、「ちょっと待っててね!また5個拾ってくる!」と小さな手に実を握りしめながら駆け出していきました。
このように遊びを通して数に触れる遊びでは、保育者が「本当だ。5個あるね」「もっとたくさんあるかな?」など、数や量に気付くような言葉も大切にしています。
幼児期は体験や経験が豊かになるほど、興味関心が広がり、意欲的に学ぶことに繋がります。
何かができる・できないではなく、子どもたちの心情・意欲・態度の形成が必要です。何かを無理にやらせるのではなく、子どもの様子を見ながら、子どもが興味や関心を持ったことを活かし、導いていきたいと考えています。
社会生活との関わり
てんとう虫の家づくりが始まり数分後、てんとう虫のおうちが完成しました。
そこには1枚のブルーシートがあります。「これなにかな?」を尋ねると、「僕たちの手であったかくなるとやけどするからこれ持ってきたの」とB君。
その情報を伝え合い、全員が理解していることで成立しているてんとう虫の家づくり。
この姿は、互いの意見を聞き入れようという姿勢、相手にはこんな気持ちがあるんだという気付きが見られるからこそ。今回は子ども同士で遊びのイメージ共有をしていましたが、時に保育者が遊びに入りながら、「〇〇ちゃんはこう思っているよ。あなたはどう思う?」とコミュニケーションがうまくいくよう、架け橋になれるような関わりを大切にしています。
その後、てんとう虫は「がぶがぶ」と名付けられ、遊びが終わる時まで大事に関わる姿が見られました。
このように自由に遊んでいるように見える園庭遊びでも、保育者はいろいろな視点で子どもたちの遊びを分析しています。
数量の遊びを引き出すことができるよう、個数を数えるような言葉を掛けたり、探求心を育むことが出来るよう、手に取れる場所に図鑑を置いたりするなども、保育者の工夫のひとつです。
子どもたちの遊びにそっと耳を傾けると、子どもならではの発想がたくさん見られます。
生まれ変わった錦ヶ丘の園庭で、保育者の意図的な関わりの基、遊びの中で学ぶ保育を大事にしていきたいと考えます。
文責:水之浦