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2025.07.31

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お気に入りの一冊が遊びと繋がる(2歳児)

 

野菜の苗植え活動や戸外探索で草花に興味をもったりと、身近な場所で自然に触れる経験から図鑑や絵本を手に取る子どもたちが増えてきました。

読んだことのある絵本を何度も手に取ったり、「この絵本がいい」と好みが出てきたりと、子どもたちにとってお気に入りの絵本があるようです。

今回は、お気に入りの一冊から子どもの発見や遊びに繋がった場面についてお話ししていきます。

 

絵本を選ぶ視点

どの保育室にもある絵本。何気なく置いてある絵本ですが、実は保育者は3つの視点から絵本を選んでいます。

1、子どもたちの発達に合っているもの。(絵本の長さ、内容が理解できるものか)

2、今の子どもたちが関心をもっている内容のもの。

3、これから興味をもってほしいと思うもの。また、これからの遊びに繋がることが予想されるもの。

今回は3つ目について、エピソードとともにご紹介します。

 

エピソード:「おんなじおんなじ」「草の辞典」より

先日、「身近な草花に目を向けて欲しい」というねらいのもと「草の辞典」「おんなじおんなじ」という絵本の読み聞かせをしました。

・「おんなじおんなじ」

登場人物の2人が「同じ持ちものをもっていて嬉しい、同じ遊びをするって楽しい、でも違いも間違いでなく面白いことだね。」と伝え合うようなストーリー。

・「草の辞典」

散歩道でよく見かけるような草花の写真と花言葉が添えられており、美しい写真に思わず、大人も外で足元の草花を探したくなるような1冊。

さあ、出発!

その後、のはら園探索に出かけると、小道にシロツメグサがたくさん咲いていました。

1人の子がシロツメグサを摘み、他の子が互いの手元を見比べ「おんなじおんなじ!」「(辞典を指さし、見比べて)一緒だね!」と目を輝かせながら保育者に伝えてくれた出来事がありました。子どもたちの目の前に、保育室で見ていた絵本や図鑑で見た草花が”本当にそこにある”という驚きは「絵本の世界が現実になった!」と胸が高鳴り面白場面だったのかもしれません。今は「同じ」であることに面白さを感じています。

これから友達との関わりがますます広がる中で、「同じ」だけでなく「違う」ことにもおもしろさや価値に気付き、受け入れていけるような柔軟な心を育んでいってほしいと、私たちは思っています。

また、自分の気づきや発見を言葉にして伝える楽しさも、少しずつ育ちはじめています。

現在の2歳児クラスでは少しずつ、サークルタイム(話し合い、自分の気持ちを伝える活動)を取り入れています。

まずは、自分の名前や好きなことなどから始め、4歳、5歳と成長していくにつれて「自分はこう思った」「こう感じた」「あなたとは違う気持ち」と自分の思いを表現したり、友達の声に耳を傾けたりしながら、意見や考えを交わす力は、これまでに伝えたことを大人がじっくりと聞いてくれた経験や、伝えることは楽しいという感情から始まっていきます。

 

遊びから学ぶ保育

錦ヶ丘では「遊びから学ぶ保育」を大切にしてます。

例えば、先ほどのシロツメグサの話では、保育者は「のはら園に咲いているよ」「この図鑑に載っているよ」と正しい答えを教えたり、先回りをしたりしません。

「子どもたちに〇〇を知ってほしい、気づいてほしい」という目的や「このような遊びに繋がるだろう」という予想をもって保育をしているからこそ、自分で気づいたときの喜び、その気持ちを誰かと共有したいという感情が生まれます。

まさに今、子どもたちは草花が同じだね!同じって面白い!という経験から、給食の時間に「食べている物が同じだね。」「洋服を見比べて、色が違うね!」と「同じ」と「違い」を面白がり、友達同士の言葉のやり取りが増えてきたように感じます。

繰り返し同じ絵本を読み、発見のヒントになるような仕掛けのある環境の中で、子どもたち目線から見た気づき、友達と関わろうと思う気持ちを大切にしていきたいと思います。

文責:武田

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