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2023.12.25

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強く たくましく 型にはまらない 野性味溢るゞ子どもに育てましょう ~園訓から学ぶこと~(人権)

私どもの園の園訓は、「強く たくましく 型にはまらない  野性味溢るゝ子どもに育てましょう」です。

この園訓から、皆様はどのような教育・保育を想像しますか。

 

「外で思いきり遊ぶことかな?」 「好きなように遊ばせることですよね」

「自由保育!」 「たくさん遊べば身体も強くなるよね!」

錦ヶ丘の職員以外の方からは、このような声が聞かれます。

 

私達保育者も、この園訓が示すものは何なのか、毎年研修を行い、話し合う機会を設けてきました。

その中で、職員からは”身体が丈夫”、”たくましい”だけではなく、「自分の好きな遊びに遊び込める子」「自分のやりたいことを自分で見つけられる子」などの意見も上がります。

野性味とは

「強く」「たくましく」は何となく想像できると思いますが、「野性味」は昨今聞きなれない言葉なのではないでしょうか。言葉の意味を調べてみても、なかなか出てきません。

似た漢字で「野生」を調べると「自然のままの性質」という意味が多数検索されました。

ここから私は、「野性味」は、人の手が加わり育てられた動植物と、野山や海川などの厳しい自然環境を逞しく生き抜いてきた動植物の味・香り・食感などが全然違うように、『厳しい環境を生き抜く生命力や活力』なのではないかと思っています。

 

現在はVUCAの時代が到来し、自ら「考え」、「選択」し、「実行」していき、「これでよかったのか」「どうしてらいいのか」と、試行錯誤しながら自分の未来を切り拓いていかなければならなくなっています。

VUCAとは、

  • V(Volatility:変動性)
  • U(Uncertainty:不確実性)
  • C(Complexity:複雑性)
  • A(Ambiguity:曖昧性)

の、4つの言葉の頭文字からきている、これからの世の中を表す言葉です。

 

VUCAで情報過多な時代、前述の「考える」「選択する」「実行していく」「振り返る」という行動を導いていくために、私たち保育者はこの「野性味溢るゞ」を特に重要視していかなければと考えます。

そして子ども達自身が持っている「野性味」は「個性」同様それぞれ違うため、子ども達それぞれが踏み出す一歩のことではないかと私は考えています。

大人が子ども達に関わるうえで大切にしていること

「考える」「選択する」「実行していく」「振り返る」という一連の流れは、大人も同様です。

私たち保育者もPDCAサイクル(仮説・検証型プロセスを循環させ、マネジメントの品質を高めていこうと)をもとに保育を行っています。

PDCAとは、

  • Plan(計画)
  • Do(実行)
  • Check(測定・評価)
  • Action(対策・改善)

の、それぞれの頭文字をとってつくられた言葉です。私達保育者は園だよりでお知らせしているように、学年ごとの月のねらいだけではなく、週のねらい、毎日の活動のねらいも決めています。

そのねらいをもとに活動を行い、その日の振り返り・週の振り返り・月の振り返りをすることで、保育の質を高める工夫をしています。また、子ども達個人の成長記録や手立ても考え、職員で共通理解をして、個への関わりも行っています。

 

その中で、特に大事にしていることをご紹介します。

0~2歳児

  • 言葉で表現が難しいこの頃の子どもは、興味のあることに自ら手を差し出し、快・不快を知っていく。その快・不快や喜怒哀楽を保育者が受け止めながら、興味に向かっていく経験を積んでいく。
  • 子どもの姿を見守りながらその子の気持ちを受け止め、上手く言葉にならない思いも保育者が代弁することで、子ども達は安心して過ごしていく。

3歳以上児

  • 何事においても保育者は提案者・サポーターであり、「自分でどうしたいか考えてみる」「自分で決める」に重きを置いていく。
  • 保育者の言う通りにすれば、失敗することもなくスムーズに活動できるが、あえて自分で考え、意思をもって経験することで、小さな成功と失敗を体験し、物事により意欲的に取り組めるようになっていく。

強く たくましく 型にはまらない 野性味溢るゝ心を育てる

子ども一人ひとりの感じ取り方や考え方は、勿論違います。

すぐ”できる”子が凄いわけでもありません。できるようになる時期・経験する時期が少し違うだけなので、その子自身の持っているタイミングで大丈夫なのです。

私達保育者は、子ども達が感じたこと・考えたことを大切に受け止め、新しいことに一人ひとりが踏み出そうとする「第一歩」を大事にし、一人ひとりの成功体験を増やすことが、子ども達自身の「強く たくましく 型にはまらない 野性味溢るゝ」心を育てていくことだと思っています。

この園訓の意味や子ども一人ひとりの人権を大事にしながら、これからも子どもたち一人ひとりの、その時々の成長の姿を見守っていきたいです。

 

文責:桑元

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