お知らせ
2024.11.13
Blog
2歳児の困った行動をかんがえる! ~2歳児 年少少クラス~
今年度がスタートし、あっという間に半年が過ぎました。
園での生活にも慣れてきた2歳児クラスの子ども達。その場所や人に安心しているからこそ、ちょっといたずらをしたくなったり、大人を試してみたくなったりする姿が少しずつ見られるようになってきましたが、もちろんこの姿も、幼児期あるあるの姿です。
今回は、2歳児という発達段階を踏まえながら、実際に日常でも見られる子どもたちの「困った行動」について解説します。
この時期によく見られる子どもの「困った」行動とは?
ご家庭で、こんな行動はありませんか?
・「走っちゃダメ!」というのに走る、というような大人の指示に逆らうような行動。
・思い通りにできない場面で激しく泣く。
・友だちや兄弟・姉妹を叩いたり、髪を引っ張ったりする。
・大きな声で騒ぐ。
などなど…
困った行動は挙げてしまえばきりがありませんが、発達の観点からみると子どもへの対応を少し工夫できるかもしれません。
相手の気持ちが理解できるまでには、まだ時間がかかる
友だちを押す、髪を引っ張るなど、友だちとの関わりが増えると、友だちとのトラブルも増えてきます。
「お友だちが痛いからやめようね」
「お友だちが嫌がっているからやめたほうがいい」
「相手が悲しい気持ちになる」
という理解は、2歳児ではまだ難しく、言葉で伝えてもピンと来ていないことが多い為、注意をした数秒後には、また同じ行動をしていることが多々あります。
相手の心の存在に気付いて行動できるのは、9歳ごろだと言われています。
「走らないで!」
と、怒って注意をしても、ニコニコして全く通じていない。という、大人からするとイラっとしてしまう行動の理由も、実にシンプルです。
怒っている大人の顔が面白い!
泣いて追いかけてくるお友だちの反応が面白い!
など、相手の気持ちがまだ分からないからこそ、自分の行動に伴う相手の反応を楽しんでいて困った行動を続けていることが多いのです。
また、周りでお友だちが大騒ぎしていたり、走り回っていたりすると
「それ、おもしろそう」と感じて、同じことを繰り返したり、真似をしてみたりする場合もあります。
こういった行動に対して、「それはダメだよ。なぜならね・・・」と大人が懇々と説明しても、あまり効果がありません。
園では、困った行動が起こる(起こりそう)な場面で、以下のような対応を行っています。
・大人は黙って、今居る場所から移動させる
例えば、走ってはいけない状況で走り回る、兄弟や友だちの遊びを妨害しているなど、行動を止めた方がいい場面で、保育者は何も言わずに別の遊び場に子どもを抱っこして移動させています。悪いことをした罰、という意味ではなく、移動させることで「なぜ移動したのかな?」と本人がクールダウンしたり、移動した意味を自分で考えるために行っています。
・言葉で止める場合は「それはしないで」「走らないで」と端的にしてほしいことを伝える
登ってはならないところを登る、走り回るなどの行動があったときには、短い言葉で「しないで」と伝えます。「転んでしまったら大変だよね。お怪我したら悲しいから走らないでね」など、長い文章で説明しても、子どもが理解できないことも多いため、できるだけ端的に声をかけます。
危険のレベルや、これは止めないと危ない、という状況に合わせて、声の強弱や表情のグラデーションを変えて対応しています。
このように、幼児期の子どもに対しては、言葉をあまり使わず対応することが効果的です。
要求を通したい!という感情も出てくる
自我の芽生えとともに、「あれがほしい!」「こうしたい!」という欲求が出てくるようになった2歳児。
「あれじゃないといやだ!」と大声で泣かれると、ついつい要求に応じてしまいたくなりますね。
しかし前述したように、反応を楽しむ姿が2歳児の特徴です。
自分が泣けば反応が返ってくる!
(泣けば大人が言うことをきいてくれる)
という学習にも繋がりやすい時期なのです。
また、大人が自分の意のままに動いてくれることがおもしろいと感じやすい月齢でもあります。
「ほしかったよね」「~したいね」と気持ちは受け止めることは大切にしながらも、要求には応じない姿勢を大人が見せることで、
「泣いても思い通りにならないこともある」と少しずつ理解していきます。この理解が、後々集団でのルールを守る力や我慢する力に繋がっていきます。
「テリブル・ツー」と呼ばれる2歳児
海外ではこの時期の子どもたちをテリブル・ツー(魔の2歳児)と呼んでいます。
前述したような困った行動に大人が手を焼く、というネガティブな側面がピックアップされがちですが、この名前にはポジティブな意味も含まれています。
自分でできることが増え、様々な言葉を覚えたり、友だちの真似をしたり、時に口答えができるようになったりと、「いつのまにこんなに大きくなったのか」と大人が驚くほどの成長を見せることも「魔の2歳児」と呼ばれる所以です。
あんず組、くるみ組では1学期に比べ、友だちとの交流を通して自分の思いを言葉で伝えられるようになり、苦手なことにも挑戦したりと、大きく成長した姿を毎日見ることができます。
時に、対応が苦しくなるほど激しい感情を保育者にぶつけてくることもありますが、それも子どもたちが今できる最大の感情表現と捉え、気長に関わっています。
ご家庭ではなかなか対応できないこと、「この行動が気になる」「こんな時はどうしたらいいの?」ということがあればぜひ教えてくださいね。
一緒に2歳児の世界を楽しみましょう。
文責:津田