お知らせ
2021.01.19
Blog
第2弾 五領域「人間関係」から考えたくるみ組の保
前回のくるみ組のブログ では、幼保連携型こども園教育・保育要領にある満1歳児以上3歳未満の園児の保育に関する5領域(健康・人間関係・環境・言葉・表現)のうちの一つ「健康」について、くるみ組での保育内容をお伝えしました。
今回は、人との関りに関する領域『人間関係』についてです。
【他の人々と親しみ、支え合って生活するために、自立心を育て、人と関わる力を養う】ことを目標に「ねらい」と「内容」が具体的に書かれています。
それらに基づいた実際の保育での、保育者の意図や、対応、配慮、子どもの姿があるのかまとめてみたいと思います。
ねらい1:幼保連携型認定こども園での生活を楽しみ、身近な人と関わる心地よさを感じる
私達は、安心できる環境のもと、興味関心を広げながら園生活のなかで様々なことに、子どもが主体的に取り組んで欲しいと願っています。
そのために、子どもの不安や淋しさ、癇癪、駄々こねもまるごと抱きしめて受容しています。「気持を分かってくれるくれる大人がいる!」という無条件に受け入れられる関りを大切にしています。周囲の大人への信頼感を持つと共にありのままの自分でいいのだという「自己肯定感」が育まれるようにしています。
ねらい2:周囲の園児等への興味・関心が高まり、関りをもとうとする
周囲の子どもへの関心が高まってくる時期です。同時に所有意識が強くなり、思うようにならない気持ちから、噛みつきや手が出ることもあります。その中でもあえて、場所や物を共有しながら同じ空間で遊ぶ活動の中で、自己主張による友達とのトラブルを誘発させる活動を取り入れています。
「喧嘩はしたらだめだよ」と大人は止めがちなトラブルこそが社会性を高めるチャンスと捉え、神の手や喧嘩両成敗の対応をし、気持を受容しています。
そのような経験を重ねることで、自分の気持ちに折り合いをつけながら、友達との関わり方を学んでいけるようにしています。
ねらい3:幼保連携型認定こども園の生活の仕方に慣れ、きまりの大切さに気付く
子どもが社会のきまりを理解するまでには長い過程が必要で、3歳未満児は、まだその入り口にいます。
しかし、集団生活の中には自分の命や身体を守るための決まりがあります。
・保育室から勝手にでない。 ・扉の開閉は、保育者が行う。
・保育室から移動する際、並んで歩く際は、保育者より先に行かない。
・非常ベルがなったら、近くの保育者の話を聞く。
・歯磨きは、椅子に座って行う。歯ブラシをくわえて移動しない。 など…
このような保育者の見守りのもと、安全に過ごせるようにしています。「ならぬものはならぬ!」見過ごしてしまうことが無いよう対応しています。
〇受容って??受け止めて、好きなようにさせること??
錦ヶ丘での「受容」とは、子どもの思いを受け止めてやりたいようにさせるということではありません。
子どもの感情や言葉をそのまま受け止め、抱きしめながら思いを代弁する対応のことです。そうすることにより自分の気持ちに折り合いをつけたり、「なんでだろう?」と考えたり、空気を読んだりと、人との関り方が育ってきます。
自分で感じて考えることで、よりよい社会性の根っこが育まれていくと捉えています。
〇相手の思いや気持ちを教えないの?仲良く遊べるための仲立ちはしないの?
相手の思いやルールを理解できるようになるのは、年中(4歳児)頃と言われています。「貸して」「いいよ」「ごめんなさい」を教え込み、呪文のように言わせることはしていません。
例えば、Aちゃんが使っていた物をBちゃんが一方的に取り上げたとしましょう。そんなとき保育者は、Bちゃんが取り上げたものをAちゃんに渡し、泣いて怒って自己主張しているBちゃんを“神の手”で抱き上げます。抱きしめながら、「使いたいよね」「欲しかったよね」と、Bちゃんの思いを代弁します。
そうすることにより、自分の感情を落ち着かせ、気持ちを切り替えて遊びに入っていけるようにします。保育者に気持ちを受容してもらうことで、少しずつ自分の気持ちがあるように、相手にも気持ちがあることに気付いていきます。
それがゆくゆくは、自分の思いから自発的に出てくる「ごめんね」に繋がります。
ある日のエピソード
自己主張が強く、自分の思い通りにならないと「いやだ!いやだ!」と、駄々をこねて泣き崩れることが多いCくん。そのたびに、保育者が神の手対応で抱っこ。「いやだったね」と受容し、自分で気持ちが切り替わるよう対応を重ねてきました。
そんなある日、友達のDちゃんが思うようにならないことがあり泣き出しました。それを近くで見ていたC君が、「いやだったね」と、Dちゃんの思いを受容し肩をなでている姿がありました。
保育者との受容的、応答的な関りの中で引き出された姿なのだと、ほっこりと嬉しい気持ちになる出来事でした。
文責:山﨑