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2021.08.31

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子ども達と関わる中で大切にしたいこと(4歳児年中組)

 

皆様は『バイスティックの7原則』という言葉をお聞きしたことはありますか。

 

『バイステックの7原則』とは、は、アメリカの社会福祉学者 バイステック氏が定義した対人援助に関わる基本原則のことで、①個別化、②受容、③非審判的態度、④統制された情緒的関与、⑤意図的な感情表出、⑥秘密保持、⑦自己決定の尊重の7つです。

 

 

私がこども園に来て約半年。子どもと関わる中で、この7原則はとても重要であると感じています。

対大人でも、対子どもでも根底は同じ。一人の人間として接する中で、この7つの原則を知り、子ども達との関わりをより濃いものにしていただければなと思い、今回ご紹介したいと思います。

 

 

 

①個別化


夏休みに入り、いつもよりさらに、一人ひとりとじっくり関われる毎日。

職員は、子ども達一人ひとりで異なる性格、感じ方、発し方等をきちんと理解したうえで子ども達と接しています。

例えば、「話を集中して聞けない」と一括りにするのではなく、A君は『周りに気を取られて』集中して聞けない、Bさんは『理解するのが苦手』だから集中して聞けない、Cさんは『興味がないことは』集中して聞けない、など。大きく分けると同じ内容でも、必ずその子だけの理由が存在し、同じものはないことが分かります。

 

 

 

②受容


次に、②受容です。

年中組の子ども達は、話をするのが大好きな子が多いです。嬉しいことも悲しいことも「先生、聞いて」と声をかけてくれます。職員は、子どもが話してくれるどんな内容も、まずは、そのありのままを受け止めます。話だけでなく、行動も価値観も。「そんなことがあったんだね。」「そういう気持ちだったんだね」「そういう考え方もあるんだね」と。

分かってもらえた、また話をしたい、という積み重ねが信頼関係の構築にも繋がっていくと思います。

 

 

 

③非審判的態度


次に、③非審判的態度とは、相手の善悪を勝手に判断してはいけないという事です。

相手の一面のみを見て、「この子はこういうことをするから、あまりよろしくない」等、自分の色眼鏡だけで、審判のように相手を判断するのは好ましくない、という事です。

絵を描いたり、塗り絵をすることが日常的な子ども達。その中で、想像力を活かして、様々な作品を見せてくれます。こんな虫いたらいいな、とカラフルなセミやカブトムシの絵。緑の野菜は嫌いだからとピンクのピーマンの絵。職員は子ども達の価値観や想像力を審判することなく、尊重しています。

 

 

 

 

④統制された情緒的関与


次に、統制された情緒的関与とは、相手の感情や状況に自分自身が飲み込まれたり流されたりしてはいけない、ということです。

相手の気持ちや状況を十分に理解したうえで、自分の感情をコントロールすることが求められます。

子どもが「してほしくない」行為を繰り返すとき。私達大人も人間ですから、中々聞いてくれない子ども達に対してイライラしてしまうことがあると思います。時には、つい力が入ってしまうことも。

しかし、そこで一度、『自分は今、子どもが取り巻く状況に流されて、感情を抱いてしまっていないか』と考えられることがとても大切です。頭では分かっていても、とても難しいですよね。そのような時、年中組の職員並びにこども園の職員は、「誰か代わってください!」と勇気を出して他の職員を頼るようにしています。

 

 

 

⑤意図的な感情表出


次に、⑤意図的な感情表現とは、相手が自由に感情表出をできる環境づくりが求められるという事です。ここには、受容で構築される信頼関係も関わってくると思います。

子ども達が表してくれる感情は豊か。怒り、悲しみ、嬉しさ、喜び、不安など。その時の感情を思いきり出せる環境こそ、安心できる場だと思います。

大人と同じように、子どもも不安や寂しさを持っています。それらの感情が不意に来ることはありませんか?私はあります。そして、子どもも同じだと思います。

例えば…D君は不安や寂しさが募っている中で、頑張って登園。いつもと様子が異なることに気付いた保育者が「大丈夫?」と声を掛けると、涙が止まりませんでした。寂しいという感情を、涙や言葉で出してくれました。自分の感情が制限されることなく表出できる環境や保育者との関係性が、D君の気持ちの表出を後押ししてくれたのだと思います。

 

 

 

⑥秘密保持


秘密保持とは、園での情報を決して第三者に漏らさない事。

 

 

 

 

⑦自己決定の尊重


最後に、⑦自己決定の尊重とは、相手が決めたことを尊重する事です。

年中組の子ども達は、大人の介入が必要なことも多いですが、自己決定できる力もついてきています。年中組では「好きな遊びをしましょう」と、自身で考え、選択して遊ぶ機会を多く設けています。

また、活動の中で、何を作るか、何を書くか、なども子どもたち自身の考えを尊重。例え、お題があったとしても、完成までの過程や方法は子ども達の自己決定の場になっています。(輪投げを作るとしても形や色、材料は自由。)自己決定の力は、これから社会に出る子ども達には欠かせない力だと思います。自分の人生を豊かにするうえでも、ぜひ培ってほしいという思いを込めています。

 

 

 

 

『原則』と言われると堅苦しく感じますが、かみ砕いて聞いてみると、普段から意識してやっています、という方も多いのではないかと思います。

 

一方で、今回初めて目にする方もいるかと思います。

私は、子ども達と接する中で、『どうしよう』と頭を悩ませることがよくあります。そのような時、一度原点に戻り、バイスティックさんが何を言っていたかなと確認しにきます。

 

 

皆様もぜひ、バイスティックさんを訪ねて、話を聞いてみてください。

 

文責:社会福祉士 新村

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