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2021.11.30

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錦ヶ丘が考える『表現』

こちらの動画をご覧ください。

 

職員が叩いているのは、れんげ組の子ども達が飲み終わった後の空のミルク缶です。

 

そのミルク缶、最初は、“転がる”に興味を持ったくるみ組の子ども達が、のはら園の斜面を転がして遊んでいました。

“転がる”に興味を持ったのも、最初は童具の一種である『ママボール』からでした。球体であるママボールを転がし、廃材やどんぐり等様々なものを転がしながら遊び始めたくるみ組の子ども達。

ミルク缶も、その一つでした。

そのミルク缶を使って、今度は年少の子ども達が職員と一緒に音を出して遊び始めました。

民族楽器のように叩いてリズムを刻むと、自然と子ども達は真似て音を出したり、身体を動かし始めたりします。

 

 

これが、“錦ヶ丘が考える『表現』”の一つの場面です。

 

 

 

私達が考える『表現』


 

今回、フェスタを迎えるにあたり、9月上旬に職員で『錦ヶ丘の表現とは?』とディスカッションをしました。

4人程のグループになり互いの考えを出し合う中で、全体の共通項として、以下のようなものが出てきました。

 

『子ども達の生活そのものが表現であること』

『保育者は、子ども達自身のやってみたいことや考えを引き出すきっかけ作りをしていきたい』

『今できることを楽しむ姿や、広がっていく遊びを大事にしたい』

 

 

 

こちらのブログで表現担当がお伝えしたように、錦ヶ丘では『いま、わたしにできること』=『わたしはこれができる!!』『これがやりたい!』を大切に、子ども達と表現活動に取り組んでいます。

子ども一人一人の興味や関心は様々です。自信をもってできること、やりたいことも、もちろん様々です。

集団生活の中で「ぼく・わたしは、これがやりたいんだ」と自分の思いや感情を表現できることって、とても素晴らしいことだと感じます。

それはまさに、“生きていくための力”。集団の中で自分を出し、時には他者と意見をぶつけ合い、気持ちをすり合わせて一つのものをつくっていくことに繋がります。

これらは毎日の生活、つまり子ども達にとっての遊びの中で、経験を通して育っていきます。

 

 

初めにご紹介したミルク缶の遊び。ミルク缶一つとっても、遊び方は様々です。

ミルク缶を転がしつくした子ども達は、大人が言わずとも自然と自分の身体で斜面を転がり始めました。

一つのものから遊びが広がり、深まり、どんどん展開されていく。これが、こども園の日常です。

そして、日常の中で見せる子ども達の表情、湧き出る感情や思いを、子ども達は多様な方法で表現しています。

 

 

その表現方法も一人一人違います。

 

 

子ども達一人一人の表現


言葉をまだ獲得していない0歳児の表現の一つ、こちらの動画をご覧ください。

 

 

 

年少組の踊りに加わり、手拍子に合わせて同じように手を叩いたり、身体をぴょこぴょこして動かしたりする“表現”です。

「楽しそう!」と思って自然と動き出す姿は、年齢に関係がないのだと感じます。

 

 

 

こちらは2歳児の“表現”。

 

 

花紙を割いて遊んでいると、タライいっぱいになった中に入り「お風呂!」と言いながらざぶざぶと遊び始める子ども。

また、雨に見立て、「雨です、雨が降ってきました」と繰り返し呟きながら、花紙をぱらぱらと撒き始める子ども。

同じ花紙でも、色々な“表現”があるのだと子ども達から学ばせられます。

 

 

 

こちらは4歳児の“表現”。

「色を塗りたい、けどここには道具が無い、どうする?」から、子ども達が考えたのは「手で塗ればいい!!」。

思い思いに手のひらや指先を使い、個性豊かな色塗りの作品ができあがっています。

 

『子どもの表現の発表』と言われると、ダンスや合奏、劇などを思い浮かべる方もいらっしゃるかと思います。

けれど、日常の遊びの子ども達の姿を見ていると、決してそうではないのだと大人が子ども達から気付かされます。

 

 

 

子どもの表現から繋がる心の育ち


数年前までは錦ヶ丘でも、私達が子どもの頃に経験したような、ダンスや合唱、劇などの“お遊戯会”をしていました。

大人が準備した演目で毎日練習に励んでいた時には、当日舞台でできた達成感はあったかもしれません。

それも大事ですが、これからの社会を生きていく子ども達に今必要なのは、興味を深め、「私はこれがやりたい!」と思ったことを追求できる力や、友達と一緒にやりとりをしながら活動を進めていく力です。

そして、それらは“心の育ち”ですので、当日だけの様子ではなかなか目に見えません。

 

錦ヶ丘のフェスタをご覧になると、以前のお遊戯会との違いに戸惑う方もいらっしゃると思います。

大人はどうしても結果の上手・下手というものさしで見てしまいがちですが、当日だけではなくそれまでの過程で見える、子どものありのままの表現を受け止めてあげることが、子どもの心の育ちに繋がります。

ぜひ、当日までの姿にも思いを巡らせながらフェスタを楽しんで頂ければと思います。

 

 

また、楽器やダンスの表現が好きで「やりたい!」と集まった子ども達は、感染症対策で密を避けることや、日常の中での姿を見て頂きたいという思いから、今回は映像で当日発表をすることになりました。

同じダンスや楽器遊びをしていても、その日その日で見せる姿は違います。

その時・その瞬間の、それぞれの子ども達の姿を見て頂ければと思います。

 

 

 

 

「ぼく・わたしは」の表現、それらが集まった「ぼくたち・わたしたち」の表現、

日常の中にちりばめられている174人それぞれの表現を、フェスタ当日は感じて頂けると嬉しいです。

 

 

文責:迫田

 

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