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2022.01.19

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原点に還る~火を焚く体験より~

冷え込む日々が続きますが、立春を前に少しずつ日が長くなってきました。

冬至~年末年始~鬼火焚き~立春~暦上の出来事だけではなく、リアルに感じる体験ができるこども園での生活に、とても感慨深いものを感じます。

先日、お正月飾りなどを燃やして浄化する伝統行事「鬼火焚き」の様子を紹介しています。

お正月飾りを浄化するために、火を焚くと、小さかった火がだんだん大きくなり、竹に燃え移った時の爆音や、龍のようにうごめく炎をみて、子ども達は目をまんまるくして見つめます。

 

 

 

古代私たち人間は、火を焚くことが生活の上で当たり前のことでした。

火を焚き、火をまるく囲み、 食事をし、語らう。

また、火の回りで、太鼓をたたいたり、踊ったりすること。それはご飯を食べるのと同じくらい生活の中で「当たり前」のことだったようです

現代は燃えさかる火をリアルに見るという体験は、なかなかありません。

こども園では夏の伝統行事のお焚き上げと冬に鬼火焚きと火のイベントを2回行いました。

 

火を見ると、山尾三省氏の「火を焚きなさい」という詩を思い出し、心があつくなります。

ひとつひとつのことばの繊細さが真理を語りかけ、心に沁みわたります。

とても素敵な詩なので、紹介いたします。

 

『火を焚きなさい』

(引用はじめ)

山に夕闇がせまる
子供達よ
ほら もう夜が背中まできている
火を焚きなさい
お前達の心残りの遊びをやめて
大昔の心にかえり
火を焚きなさい

(中略)

人間は
火を焚く動物だった
だから 火を焚くことができれば それでもう人間なんだ
火を焚きなさい
人間の原初の火を焚きなさい
やがてお前達が大きくなって 虚栄の市へと出かけて行き
必要なものと 必要でないものの見分けがつかなくなり
自分の価値を見失ってしまった時
きっとお前達は 思い出すだろう
すっぽりと夜につつまれて
オレンジ色の神秘の炎を見詰めた日々のことを

「びろう葉帽子の下で 山尾三省詩集」(1993年、野草社刊)より

 

山尾三省氏はもうお亡くなりになっていますが、生前、グループ法人である塔ノ原社会福祉法人の理事長である堂園晴彦氏が共著・対談された本「春夏秋冬・いのちを語る」(南方新社出版)も出されています。

火を見ると人としての原点を思い出し、懐かしく言葉にできない感情がこみあげてくるものがあります。

現代社会を過ごすうえで、原点を感じる体験はとても貴重で尊いものを感じます。

燃え上がる炎を見て目をまんまるくした子ども達の感性が育まれる様子を見守りつつ、火のあたたかさや人のぬくもりを感じるひとときを過ごす大切さを感じる今日この頃です。

文責 有川

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