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2022.05.02

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のはら園と子どもの育ち(5歳児・年長)

だいぶ過ぎてしまいましたが、ご進級、ご入学おめでとうございます。

4月から年長・年中の副担任を務めることになりました、津田と申します。

早いもので、新年度が始まって1ヶ月が経ちました。

ワクワクとドキドキに胸膨らませた4月当初から、子どもたちの表情には余裕も感じられるようになりました。

私もこの園に来て1か月が経ち、子どもたちと共に新しい環境に馴染んできたように思います。

今回はこの場をお借りして、私が認定こども園錦ヶ丘で過ごす中で驚いたことや、「すごい!」と感じたことをお話させていただければと思います。

今回は園庭ビオトープ(のはら園)についてのお話です。

錦ヶ丘の子どもたちって、すごい!

私は昨年度まで臨床心理士として大阪府でスクールカウンセリングや、児童発達支援の現場で働いてきました。

緑のない土地から一転、この錦ヶ丘にやってきてまず驚いたのは、のはら園で遊ぶ子ども達を見たときでした。

初めてのはら園で遊ぶ子どもたちを見て、思わず「すごい…」と声が出た記憶があります。

・たくさんの子どもたちがいる中で、だれにもぶつからずに走る

・急斜面でも難なく上り下りできる

・グラグラした橋の上をスイスイ渡る

・池の水面に顔を近づけて見ても、池に落ちることなく体を支えられる

子どもたちに話せば「そんなの普通のことだよ」と笑われそうですが、

実はこれってすごいことなのです。

 

生きているのはら園であそぶ

のはら園は、その日の天気や前日までの気候、四季によってさまざまに姿を変えます。

前の日に雨が降っていれば、湿った土で歩きにくく、足を取られやすくなっています。

乾燥している日であれば、砂が乾いて靴が滑りやすくなります。

天気だけでなく、たくさんの子どもたちが出入りするのはら園では、お友だちが土を掘ったり、石や折れた枝をあちこちにばらまいていたり、日によっては色々なトラップが転がっています。

大人の私が歩いていても、「おっと危ない」と感じることが時々あります。

生きている自然を相手に遊ぶということは、楽しさを感じると同時に危険を伴うということ。

子どもたちは、日々微妙に変化するのはら園と上手に付き合って、逞しく遊びを展開しています。

豊かな自然の中で自分の体を調整する

私がこれまで発達支援に携わる中でよく耳にしてきた言葉として、「体幹が弱い」「手先が不器用」「字が汚い」「なにもないところで転ぶ」といったものがあります。最近では、こういった特徴がある場合、「協調性運動障害」といった診断名がつけられることもあります。

私は保護者の方からこういった相談を受けるときにはいつも、「外でめいっぱい遊んでください」とお伝えしています。

のはら園のような豊かな自然がある空間には、子どもたちが心躍るような楽しい仕掛けと、前述したような「ちょっとした危険」が、うまい具合に存在しています。

鬼ごっこでどんなに速く走れても、転んだときに手をつかなければ転んでしまいます。

池に住む魚や植物を近くで見たければ、自分の体をちゃんと支えられなければ池の中に落ちてしまいます。

ぬかるんだ斜面を駆け登るときは、両手と両足をタイミングよく出して使う必要があります。

自然の中では、普段使わない体の部位を使う機会が増え、次第に新しい動作を獲得するチャンスがたくさんあるのです。

子どもたちは、小さなケガを繰り返して少しずつ自分の身体の動かし方に気づきながら挑戦していくことで新しい動きを習得していきます。

また、あまり体調が万全でない様子の子でも、大人から声をかけなくとも木陰に座って読書をしていたり、植物を観察して静かに過ごす光景をよく目にします。

のはら園では自然の中で「自分にとって心地よい状態」を知り、それに合わせて行動を変えていくための手助けにもなっているように感じられます。

のはら園で楽しい時間を過ごしましょう

私が住んでいた大阪では、残念ながらのはら園のような自然豊かな環境がありませんでした。

土の上に立つこと自体が少なく、汚れにひどく敏感だったり、液晶画面でしか動くものを見ていないため、3Dで動くものを見ると怖がるお子さんもいたりします。

体のコントロールがうまくいかないので、感情のコントロールも難しくなり不適応を起こす事例もたくさんありました。

大阪に比べて鹿児島は自然環境に恵まれていますが、市内中心部では日常的に自然に触れられる場所は少ないように感じられます。前述したような、新しい体の使い方を習得し、自分の体の状態に意識を向ける機会が少ない子どもたちの育ちを、私はとても懸念しています。

だからこそ、自然いっぱいのはら園での日々の遊びが、子どもたちの心と体の育ちにとても有益だと感じていますし、園児のみなさんが将来自分の心と体の状態を調整しながら、しっかりと生きていく力を養っていく、大切な時間を過ごしているとも感じています。

これから就学までの道のりの中で、のはら園でたくさん遊び、たくさん思い出を作ってもらえると嬉しいです。そして子どもたちだけでなく、保護者の方や地域の皆様にも愛されるのはら園を大切に守っていきたいと思っています。

お迎えの時など、園にお越しの際にはぜひ、のはら園の自然や子ども達の遊び方に少し目を向けてみてくださいね。

文責:津田

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