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2022.06.16

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生活習慣を整えよう(5歳児・年長)

6月の年長児の目標は、「身だしなみを整える」です。

最近は“マイハンカチ”をポケットに準備している子どもたちが増えてきました。

「どうしてハンカチが必要だと思う?」と聞くと、「ポケットに入れておけば、教室じゃないところで手を洗っても拭けるから!」「手を拭く紙を無駄にしなくていいから!」と考えて答えてくれるようになった年長さん。

また、服装に関して言えば、4月当初は下着のシャツを服の裾から覗かせている子が多かったのですが、今は自分たちで服装をチェックし、トイレやお着換えのタイミングでキレイにシャツを収めることができるようになっています。

今日は、身だしなみを整えることに関係して、「生活習慣を整えること(身辺自立)」についてのお話です。

 

生活習慣のめばえ

一般的に、1歳半頃から2歳頃に、歯を磨く、お風呂に入る、服を着替える、食事をするなどの生活習慣を意識しはじめるようになると言われています。

これは、おうちの人(大人)の姿を子どもたちが真似し始める時期でもあります。おままごとでエプロンをしたくなったり、お母さんの化粧品を勝手に使ったり、口元に手を当ててお父さんの髭剃りの様子を真似たりする姿が見られるのもこの時期からです。

まだまだ手のかかる2歳前後の子どもたちには、まずは大人の真似ができること(真似をしようとしていること)を褒め、その手助けをしてあげることが大切です。

 

ある程度のことは自分でできるようになってきた年長さんに対しても、このスタンスで接することはとても大切だと私は考えています。

年長さんは着替えも歯磨きも食事も、だいたい一人でできるようになってはいるけれど、大人のように見栄えよく、手際よくできるようになるには、あと1~2年はかかります。

「やってね」や「やっといてね」という言葉かけだけでは、「まだ上手にできるかわからない…」という一抹の不安が残るこの時期の子どもたちの行動を後押しすることは難しいのではないかな、と考えています。

 

園で子どもたちの様子を見ていると、お友だちと比較したり見せ合ったりしながら生活習慣を身に着けているように感じます。

「ねえ、ぼく今日こんなハンカチもってきたよ」

「〇〇くん、もうおきがえ終わったの?はやいね~」

「お洋服、どっちがきれいにたためるか勝負しよう」

「今日の〇〇ちゃんのお洋服、すてきだね」

身近な人への興味関心が芽生えること、そしてそれを真似しようとすることが子どもたちの行動を伸ばし、生活に広がりを与えているようです。

「お手伝い、したい!」

興味の対象はお友だちだけでなく、大人たちへも向いています。

大人がおもちゃや布団を運んでいると、「持っていきたい」と声をかけてくれる子がとても多いです。給食で使う食材の下ごしらえや、植物の水やりも生き生きとした表情で取り組んでくれています。「やってやって」と大人にお願いすることが減り、「やりたい!」ということがどんどん増えている印象を受けます。

お手伝いをしたら褒めてもらえるから、という理由もあると思いますが、「大人みたいに上手にやりたい!」とか、「私だって大人みたいにできるはず」という憧れが子どもたちをお手伝いへと導いてくれているように感じています。

園だけでなく、おうちの中でもそういった様子が見られたら、ぜひ大人の真似ができる機会を作ってあげてください。

お料理や片づけ、洗濯物などの家事を「お手伝いしたい!」「真似したい!」という子どもたちからの要求は、生活習慣を身に着ける絶好のチャンスです。

手先を使う練習にもなりますし、「自分は家族の一員だ」という自覚も高まります。

また、バラバラになったものをまとめたり、乱れているものを整えたり、何かを取り出したり、並べたりする行為は、数や量の操作、系列化の思考といった就学後の学習の素地を作ると言われています。

園でも色々な形の童具を1つの箱に上手にまとめる姿が見られています。

 

まだ大人みたいに上手にはできないけれど、興味を持って取り組む姿勢を認めてもらえる環境があれば、「やらなきゃいけないからやる」だけではない、心の底からのやる気を引き出せるのではないかなと期待しています。

そして園での活動では「やりたい」を発端に、生活に必要なスキルを楽しく学んでもらえる機会を用意し続けていきたいと考えています。

本当の意味の「自立」

先日、非営利団体コドモノミカタ代表理事の井桁容子先生の保育者向けの講習を受講しました。その中で井桁先生は、「自立」の考え方についてこのように述べていました。

 

人は一人では生きていけない。

「自立」とは、何でも一人でやれることではなく、

困ったときに誰かに「助けて」と素直に助けを求めることができることを言う。

 

そして、

「一人でできるようになってほしいから」という理由で、困っている子どもに手を貸さない保育者を見て、子どもたちは「困っている人がいても助けてはいけない」ということを学ぶ

とも話していました。

 

私自身、就学を前にした年長の子どもたちに対し、「一人でできるようになったらいいな」と考える場面が時々ありました。

「できるようになったらいいな」という感情自体は悪いものではありませんが、井桁先生のお話を聞く中でその考えを子どもに押し付けていないかな、と自分の言動を振り返るきっかけになりました。

 

身だしなみや生活を整える練習中の子どもたちに、「困っているときは教えてね。お手伝いするよ」とあたたかな声かけができる保育者でありたいと思います。そして、困っている人がいれば「大丈夫?手伝うよ」とあたたかな声かけが行き交う園を作っていきたいと思います。

 

文責:津田

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