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2022.08.30
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子どもたちから学ぶ「心理的安定性」

あっという間に8月も終盤に差し掛かりました。この夏、真っ黒に日焼けした子どもたちの姿をみていると、ご家庭や園でたくさんの思い出ができた夏だったのだろうなぁ、と嬉しい気持ちになります。
さて、私はこの8月中の間に「園内での職員同士のコミュニケーションをより良いものにするためにどうすればいいか」というテーマで職員研修を実施しました。
今日は、この研修の中で話題に上げた「心理的安定性」についてご紹介したいと思います。
職場の生産性を高める「心理的安定性」
心理的安定性とは、
・チーム(職場)のメンバーを信用して失敗や弱さを見せられること
・失敗や弱さを見せても大丈夫、という認識がチームのメンバーみんなの中にあること を指します。
この2つを基盤として、それぞれが思うことを気兼ねなく発言できる職場であることがチームの結束力や生産性を高めると言われています。
上司も部下も関係なくアイディアや主張を発言し合い、議論できる環境がよりよい職場作りへと繋がっていきます。
心理的安定性が高いチームとは、「言いたい放題言える関係」ではなく、「ただの仲良しチーム」というわけでもなく、異なる意見が飛び交い議論することが多い現場となるため、ある意味厳しい局面もある職場であると考えられています。
この心理的安定性を確保するには、色々な障壁があります。
・自分の発言で変な空気になったらどうしよう・・・
・こんなこと言ってバカにされないかな・・・
・前に上司に反対されたから、提案するのが怖いな・・・
・私が言うと角が立つかもしれないから、気になるけど言わないでおこう・・・
心理的安定性を確保することが難しくなっていく背景には、人それぞれにある心理的な課題や考え方の癖、文化の違い、身体的な疲労などが影響していると考えられています。
様々な背景が影響して、「素直に自分の想いを伝えること」がとてもハードルが高いことのように感じられるのです。
お手本はこどもたち
実はこの心理的安定性が高い集団のコミュニケーションの様子を、私たち保育者は日常的に見ています。
それが、子どもたちの姿です。
こどもたちは、自分の想いやアイディア、提案を率直に言葉にして友だちや保育者に伝えてくれています。
「〇〇されて嫌だった!」
「もっとこうしたらうまくいくんじゃない?」
「わかんないけど、一回やってみようよ!」
「お手伝いするよ!」
日常的に聞いていると何気ないやりとりなのですが、実はこ子どもたちのやりとりの方が我々大人が目指すべきコミュニケーションを体現しているということに気付かされます。
特に子ども同士でのコミュニケーションでは、大人が介入している時よりも率直で、気兼ねなく自分の想いを伝えられているように感じられます。
もちろん、まだまだ言語能力が未熟な子どもたちなので、時に荒々しい言葉でしか表現できないこともありますし、低年齢であれば言葉より先に手が出てしまうこともしょっちゅうあります。
お友だち同士のトラブルが頻繁に起き、喧嘩が絶えません。
それでも子どもたちのコミュニケーションがすごいと思えるところは、喧嘩しても別の場面ではまた仲良く遊んでいるというところにあります。
自分の弱さや恥ずかしいところを曝け出して泣いてしまうことがあっても、何とか自分で切り替えて再度チャレンジしようとするところにあります。
年長の子どもの場合、こどもだけで話し合いをする場面ではなかなか結論が出ないことがしょっちゅうありますが、結論が出るまで数十分、粘り強く議論を続けることも多いです。
友だちとの対話ややりとりを決してやめない姿
ストレートに自分の想いを発信する姿
自分や相手のアイディアから「やってみよう!」と挑戦できる姿
意見が合わない相手でも、最後には仲直りできる姿
こういったこどもたちの姿をお手本に、私たち大人もより良いコミュニケーションを目指していかないとなぁ、と研修を実施しながら改めて考えることができました。
錦ヶ丘で大切にしていること
コロナ禍を経て、先行きの見えない今の時代。
一般企業においても、これまで正解だと思ってやってきたことでも通用しない、
マニュアル通りにやってもうまくいかない、というような「正解のない時代」になっていると言われています。
「正解のない時代」を切り抜けていくためには、個人個人が創造性を高め、それを提案したり主張したりして議論し合い、チームの中で「今この瞬間に最適な答え」を見つけ出していく必要があると言われています。
私たち保育者は、正解のないこれからの時代を逞しく生きていくための礎を築く幼児期に、子どもたちにとって必要な体験をたくさん重ねていきたいと考えています。
対話や議論は子どもたちにとって穏やかなものではなく、激しい喧嘩や言い合いであることもたくさんありますが、
これも社会に出てより良い形で自己主張ができたり相手の意見に耳を傾けたりするための大切な過程であるとも考えています。
そのため、錦ヶ丘では喧嘩や言い合いになったときに「喧嘩はだめだよ!」と大人が声をかけることはほとんどありません。
「どうやったらみんなが楽しく過ごせるかな?」「お友だちは今どんな気持ちだと思う?」など、抽象的な問いかけをすることで子どもたちの気づきを促しながら、適切な自己主張の仕方を学んでいけるよう工夫しています。
同時に私たち保育者も、正解のない「保育」という世界において、「こどもたちがより良く過ごしていくためにはどうしたらいいのだろう?」という抽象的な問いをもとに、常に模索しています。
こどもたちのコミュニケーションや発見、議論する姿から私たちも学ばせてもらいながら、錦ヶ丘オリジナルの保育を創造していけたらと考えています。
文責:津田