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2024.10.16

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自分の気持ちを安心して伝えられるようになるために(年長組 5歳児)

今回は、「自分の気持ちを安心して伝えられるようになるために」というテーマでお伝えしたいと思います。

あなたにとって居場所はいくつありますか?

この問いかけは、先日の園内研修で、講師の先生から私たち職員に投げかけられたものでした。

あなただったら、何と答えますか?

「うーん、家庭と職場で2箇所かな?」

「私には、友達や趣味を楽しむ場所や仲間もいるから居場所がたくさんある!」

など、人それぞれ自分が思う居場所があると思います。

居場所の意味を調べてみると「いるところ、いどころ」という意味が一番に出てきます。

それに続いて「人が、世間、社会の中で落ち着くべき場所、安心できる場所」「その人が心を休められたり、活躍できたりする場所」という意味が出てきます。

居場所とは、物質的な意味を表すだけでなく、心理的な意味も表しています。

園でも、子どもは泣いたり、怒ったり、甘えたりとさまざまな姿を見せます。

そんな時、私達保育者は、そっと寄り添い、子どもの思いを十分に受け止めることで、子どもが安心してすごせるように関わっています。

子ども達は、保育者に自分の思いをしっかりと受け止めてもらうことで、何があってもこの人がいれば大丈夫と安心できる場所(安全基地)や一緒にいると安心できるといった気持ちのよりどころ(安心基地)をもち、安心して過ごすことができるようになります。

 

友達に自分の気持ち言える?

錦ヶ丘では、サークルタイムなどさまざまな場面を通して、自分の考えや思いを伝え合う機会を大切に保育をしています。

大人数では伝える事が難しい子どもも、少人数で伝え合う経験を重ねる事で、自分の思いを伝えられるようになってきました。

日常の中では、自分の思いや考えがすべて通るわけではなく、友達と意見が異なることも多くあります。

そんな時、自分が思ったことを友達に言える子どももいれば、何も言えず相手に合わせてしまう子どももいます。

年長組の子どもたちの友達同士の関わりを見ていると、自分の思いを伝えられずに我慢したり、友達に合わせてしまう子どももいます。

たしかに友達との関わりの中で相手の思いを聞き、自分の気持ちに折り合いをつけられるようになることも、生きていく上で大切な力です。

しかし、いつも自分の思いを飲み込んで相手に合わせてばかりいたら、「自分が我慢すれば」、「どうせ自分の思いを伝えても聞いてもらえない」などと、自分の思いを伝える事をしなくなってしまうかもしれません。

そこで、サークルタイムで「自分がしたい遊びをしている時に、友達が違う遊びをしよう」って言ったら、「私は〇〇がしたいって言える?」と問いかけてみました。

ほとんどの子どもが「言えるよ」と答えましたが、中には「言えない事もある」と答える子どももいました。

そこで、「どうして言えないんだろう?」と聞いててみると、「仲間に入れてもらえなくなる」「もう遊んでくれないかも」と不安な気持ちを教えてくれました。

 

「断ること」や「イヤなことをイヤと言うこと」は悪い事じゃない!

子ども達に「断ること」や「イヤなことをイヤ」と伝えることも大事だよと伝えました。

大人でも相手に対して「何となく断りづらいな」とか「これ言ったら嫌われるかな」と思う事がありますよね。

でも、自分の気持ちを言えなかったことで、自分の本意ではない状況になってしまった事はありませんか?

そうならないために、「断ること」や「イヤなことをイヤ」と言うことは、決して悪いことではないと思えることが大切だと思っています。

年齢によって「いや」の表現の仕方は異なります。

大人が言うことに対して何でも「イヤ!」といういわゆるイヤイヤ期。

自分の欲求をうまく言葉にできないいらだちや、やってみたいのにうまくできないもどかしさから「イヤイヤ」になってあらわれます。

その時期から自我が芽生え、発達する中で自分のやりたいこと、やりたくないことがはっきりし、自己主張が強くなります。

言葉を獲得すると、「まだ遊びたいから、ご飯を食べたくない」「今使っているから貸したくない」など自分の思いを言葉で表現できるようになっていきます。

安心して気持ちを伝えられるために

今は、自分で欲求や気持ちを伝えられなくても、周りにいる大人が子どもの思いを察して動いてくれ、特に不自由なく過ごすことができるかもしれません。

しかし、小学校に入学すると、「おなかが痛い」「トイレに行きたい」「忘れ物をした」など、何か困ったことが起きたら、自分の言葉で先生に伝えなければなりません。

伝えられないと、誰にも自分の気持ちを分かってもらえず、困った状態が続いてしまうかもしれません。

自分の気持ちをきちんと言えること、「イヤなことはイヤ」と言えること、「困っているときは助けて」と言えることは、自分を守ることにも直結します。

自分の気持ちを安心して表すためには、どんな気持ちを出したとしても、その気持ちを受け止めとめてもらった、抱きしめてもらった、わかってもらった、傍に寄り添ってもらったなどの経験の積み重ねが大切です。

ご家庭でも、お子さんが自分の思いや考えを伝えてくれた時には、「あなたはそう思ったのね」「どうしてそんな風に思ったの?」とじっくりその思いに耳を傾けてみてください。

自分の気持ちを誰かに伝えられたという思いや、自分の思いを受け止めてくれる大人がいるという安心感がもととなり、もっと自分の気持ちを伝えようとしたり、友達の思いに耳を傾けようとしたりする姿に繋がっていきます。

これからも、子ども一人ひとりの伝えたいという思いを丁寧に受け止める関わりを持ちたいと思います。

文責:淵上

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