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2019.08.30

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研修から感じたこと(リーダー)

今年度も夏休み中、職員は様々な研修に出かけ、それぞれ多くの学びを得てきました。昨年度までは、「主体的に学ぶってどういうこと?」「10の姿ってどのように活用するの?」等、改訂された『新幼稚園教育要領』についての基本的な内容の研修が多くありましたが、今年度の研修は、実際に新しくなった教育要領をもとに行ってみて…という、より実践的な内容が多くなってきています。もちろん教育要領に関することだけではなく、特別支援・食育・無償化等、様々な分野の研修に参加をしているところです。

 

その中で今回は、8月に鹿児島市教育委員会の主催で行われた【鹿児島市公私立幼稚園保育研修会】から、志學館大学大学院心理臨床学科の山喜高秀先生の「発達支援に求められるもの‐支援者の役割‐」で感じたことを紹介させていただきます。

 

この山喜先生の講話は、仮題が「障害のある児童生徒への支援の在り方~合理的配慮の提供~」ということで、鹿児島市の特別支援教育に関わる先生方の研修と重複しており、小中学校や養護学校、療育関係等色々な場の先生方が参加されていました。鹿児島市の現状として、特別支援学級に通う子どもの数・学級数・支援員の数・巡回相談の件数等は、いずれも年々増加しているということ。これは学校が子どもの必要に応じる“インクルーシブ教育(包括的教育)”の大切さが大きくなっている証拠です。インクルーシブの代表的なものに、ユニバーサルデザインがあります。シャンプーボトルの横のギザギザや、牛乳パックの上のくぼみは皆さんもご存じではないでしょうか?障害の有無だけではなく、性別や文化等も関係なく、誰もが過ごしやすくなるための工夫です。

 

障害の診断が下りたり、「あれ?もしかして…」と思ったりすると、どうしてもその“名前”に縛られてしまいます。山喜先生は、「他からのチェックの前に、その子どもの内側から世の中がどのように見えているかを大事にしてほしい」と仰っていました。その子の特徴を見てあげること、時には力を抜き、ぼんやりと眺めてあげることで、その子自身を見てあげることです。

 

また、この講話の中で私が一番印象に残ったのは、「みんなが味わうことを同じように味わう必要はない。その時にその子の興味があるものに目を向けること。花を見て「きれいだね」と言葉を掛け、同意を求め、後を追わせるのではく、その子の感覚にこちらが寄り添うことが大切です。」という言葉でした。この講話の大きなテーマは“特別支援教育”でしたが、この言葉は今からの教育全体に言えることだと感じた言葉です。みんなで同じことを同じようにしたり、こちらの価値観や枠にはめこんだりするのではなく、一人ひとりの感性ややりたいことを大切にすること。その子のいま興味があることに目を向けること。その子の世界観にこちらが歩み寄っていくことで、「認めてもらえる、わかってもらえる」と、安心して好きなことに思い切り打ち込み、表現することができること。この錦ヶ丘幼稚園で日々保育を行う中で大切にしていることの本質に、改めて気付くことができた時間となりました。

 

子ども達が大人になった時、やりたい仕事に就き、思い切り自分の力を発揮してほしい!いろんな人がいて当たり前、他者の個性を認め、尊重できる人になってほしい!何よりも、自信を持って自分の事を認めてあげられる人になってほしい。そのために今、子ども達に必要な経験ってなんだろう?…私たちは目の前の子ども達の姿はもちろんですが、長い目でも子ども達のことを考えながら、保育を行っていきます。

子ども達のありのままの姿・感性を大切に、子ども達に寄り添う保育、やりたいことを思い切り楽しめる環境づくりに、2学期も取り組んでまいります。

 

文責:主任 迫田(昌)

【参考】

山喜高秀氏:http://www.shigakukan.ac.jp/faculty/staff/humanities_psychology/14110.html

インクルーシブ教育とは?:https://h-navi.jp/column/article/35025729

 

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