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2023.07.25

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子どもの人権とは?

先月「心地よい保育のために…」というタイトルで、子ども達が心地よく過ごせるように、まずは大人自身も心を落ち着かせたり、体調を整えたりすることも大事であることをお伝えしました。

その上で、子どもの人権を守るためには、まず大人が「人権」について学び、「子どもの人権」を知ることが大切だと考えます。

子どもの人権については様々な本が出版されていますが、今回は、『どもの権利条約ハンドブック(自由国民社)』から文章を引用しながら、子どもの人権についてお伝えしたいと思います。

 

子どもの権利条約とは

1989年に国連で採択され、1990年に国際条約として発行された「子どもの権利条約」は、前文から始まり、第53条で成り立っています。

それに先んじて、日本は『児童は、人として尊ばれる。 児童は、社会の一員として重んぜられる。 児童は、よい環境のなかで育てられる。』という三つの指針の下、すべての児童の幸福を図るために、1951年に「児童憲章」を定めています。

そして、最初に記述した、国連が発行した「子どもの権利条約」は、1994年に批准しています。

 

53条もある子どもの権利や児童憲章で述べられている子どもの権利の中で、一番何が大切なのか… 皆さん考えたことがあるでしょうか…

「子どもの権利条約」や「児童憲章」を検索し、熟読していただけばと思いますが、読めば読むほど、どの権利も「なるほど」と思うことばかりです。

きっと、子どもの権利を知っていく中で、「これが一番大事なのでは…」と思う権利は、人それぞれだと思います。

 

その中で、私自身が特に大事だと感じている権利を2つお伝えします。

 

子どもの権利条約の根幹の考え『愛される権利(子どもの基本的権利)』

「子供」という漢字。

本来は「大人のお供」=「大人に従う家来」という意味があるようです。

 

『子どもの権利条約ハンドブック』の中で、子どもにとって特に大切な権利は、

①ひとりの人間として尊重され(尊厳の補償)

②子ども時代を楽しく豊かに過ごし(成長の権利)

③自分らしさと思いやりのあるおとなへと大きくなること(発達の権利) 

この3つだと言われています。

 

子どもが大人の家来のままであったら、この3つの権利は行使されると思いますか?

子どもが「ねえねえ」と呼び掛け、大人が「なぁに」と応え、身近な大人からそのまま受け入れられ、安心安全に過ごすこと。

すなわち、「愛される」、その喜びを知ることによって、上記の3つの権利の実現が可能になります。

 

私達大人は、その呼びかけにしっかりと応えられているでしょうか… 子ども達と過ごしながら毎日考えさせられます。

 

子どもの権利条約 第12条『意見表明権(呼びかけ、向き合ってくれる権利)』

「自分の気持ちをきちんと言いなさい」「どう思っているの?」

このような言葉を、怒りの感情を持ちながら子ども達に投げかけていないでしょうか。大人がカンカンに怒っているのを見て、自分の気持ちを言えることが子ども達にできるでしょうか…

また、子どもが自分の意見を言ったら言ったで、大人と違う意見だと、「なんでそうなるの。こうでしょう!」と受け入れてくれない…

そうなると、子ども達は前述通り、”大人の言う通り、大人の家来”になってしまいませんか。

 

子ども達の言動には必ず理由があります。

まずは、「なんで!」と思う前に、「どうしてそのような言動をとってしまったのだろうか」と一呼吸おいてから、抱きしめ、気持ちを受け止めて、向き合ってみます。

そこから理由を聞くと、ぽつぽつと子ども達は自分の気持ちを伝えてくれます。

 

ただ、日頃から子ども達の呼びかけに、大人が応えていなければ、このような状況はならないかもしれません。

子ども達の声に耳を傾けながら、状況を判断し、受け止めて過ごす。そして、大人の気持ちを伝える。

そのような関係性が築けると、ハンドブックの中で特に大切だと言われている3つの権利を子ども達が行使できる環境になるのではないでしょうか。

子ども達に向き合う

私たち大人は、それぞれ働いていたり、家の仕事をしていたりと、日々「忙しい!」と思うことが多いですよね。

そのような状況におかれていると、子ども達からの呼びかけにも「いま忙しいからまたあとで!」「うるさいなぁ」と言ってしまうこともあるかもしれません。

 

ただ、この人権をまずは知り、学ぶことで、「忙しいな」と思っていても、時に「そうだった!」と子どもの人権のことを思い出し、私自身、行動を変えていくことも増えました。

大人が子どもたちを健康で幸せに育てていくためにも、子ども達と向き合いながら「人権」に対しての学びを深めていきませんか。

また次回、子ども達の権利についてお伝えしていきたいと思います。

 

※参考・引用文献 『子どもの権利条約ハンドブック』(自由国民社)

 

文責:桑元

 

 

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