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2024.07.01

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トイレトレーニングのあれこれ(2歳児 年少少)

最近、年少少(2歳児)の保護者の皆様からいただく連絡帳や、送迎時の私たちとのやりとりに「トイレ」というワードがたくさん出てくるようになりました。

「おうちで誘ってみるけど、行きたがらない」

「トイレでおしっこができました!」

「ウンチはなかなかトイレではできなくて…」

など、トイレで排泄ができるようになったことへの喜びや期待、時にはお悩みも聞かせていただいています。

今回は、現在の年少々組(2歳児)の子どもたちのトイレトレーニングをテーマにお話させていただきたいと思います。

あんず組・くるみ組(2歳児)での様子

トイレに興味を持ち始めた子どもが出てきた5月頃から、職員間で話し合い、トイレでオムツ交換をすることにしました。

トイレに興味を持っている子どももそうでない子どもも、トイレに行くことで「ちょっと行ってみようかな」と感じるきっかけになることをねらいとして始めました。

トイレでのオムツ交換が定着する中で、「トイレ座ってみる」と挑戦する子どもが増え、実際にトイレでの排泄ができるようになった子どもも少しずつ増えてきました。

まだトイレでの排泄が難しい子どもも、みんながトイレに行き始めると、ちょっと様子を覗きに来るようになりました。

月齢も、発達のペースも個性もそれぞれの子どもたち。

保育者としては、トイレでの排泄を目的にするのではなく、集団生活の中で友だちがしていることに興味を持ち、憧れて挑戦しようとする気持ちの芽生えや、「トイレに行けた!」「トイレでできた!」という一人ひとりの自信に繋げていけたらと考えています。

「2歳児」という発達段階で考えてみると・・・

「トイレいけたよ!」「おしっこできたよ!」とトイレから出てきた子どもたちの明るい第一声を聞くと、私たちも「よかったねえ~」とつい笑顔になってしまいます。

しかし一方で、昨日までトイレに進んでいっていた子どもが、突然「トイレ行かない!」「イヤなの!」と怒ったり泣いたりすることがあります。

トイレだけでなく、着替え、靴を履く、食事をする場面でもそのような姿がよく見られます。

「昨日はできたのにどうして?」と不思議な気持ちになりますが、「2歳児」という月齢であれば実はすごく当たり前の現象でもあります。

友だちや保育者、親や兄弟など身近な他者への憧れが少しずつ芽生える2歳児。「私だって(僕だって)一人でできるんだ!」と意気込むものの、まだまだ身体の使い方がぎこちなく、物事を順序立てて取り組む力がないため、思い通りに行動できないことのほうが多いのです。

「できる!」と思って取り組んだことが、上手にできなかった…という繰り返しの中で、「やっぱり大人にやってもらいたい」という甘えが出たり消えたりする時期にも差し掛かります。

園生活の中でも突然「できない!」と言うことがありますが、「そうか、(今は)できないんだね」と受け止めて、部分的にお手伝いするようにしています。

私たちが大切にしていること

前述したように、トイレに行きたいときもあればそうでないときもあるのが2歳児です。

みんながトイレでオムツ交換をしているわけではなく、トイレに行きたくないときには、別の場所でオムツを交換することもあります。

無理やりにトイレに行かせることで、「トイレは嫌な場所・怖い場所」という気持ちにさせない工夫でもありますが、子どもーも大人と同様に、排泄のタイミングは人それぞれ。自分が一番安心できるタイミングでトイレに行けるよう配慮しています。

また、便や尿に対して「汚い」「くさい」という言葉は使いません。

その子の存在自体に対して使うわけではない言葉であっても、子どもの心にぐっと刺さってしまうことがあるためです。

汚い、くさいという言葉ではなく、

「おしっこ出てスッキリしたね」「おしりをきれいにしたよ、気持ちいいね」など、

体や気持ちの状態を表現する言葉で「排泄」という当たり前の行為を丁寧に扱うようにしています。

心理学の観点から

今年度あんず組(2歳児)の担任をさせていただいている私、津田は

保育士資格の他に臨床心理士資格も持っています。保育のエッセンスとは別に、心理学の観点からトイレトレーニングについて少し解説してみたいと思います。

ジークムント・フロイトという精神分析家は、2歳児のトイレトレーニングを行う時期を「肛門期」と名付けました。

これまでいつでもどこでもオムツの中で排泄をしていた子どもたちが、適切な場所で排泄することができるようになることはつまり、本能のまま自己中心的に行動していた人間が、自分の力で欲求をコントロールできるようになることに繋がる、と唱えました。

トイレトレーニングを通して、子どもたちは「自分でできた!」という達成感を得るだけでなく、「適切な場所で適切な行動(排泄)をする」という社会的規律や、自分自身をコントロールする力、我慢する力を身につけている、ということです。

フロイトによると、トイレトレーニングが厳しすぎた経験を持つ子どもは、「~でなければならない」という強迫観念を持つ傾向にあり、逆にトイレトレーニングをきちんと行わずに育った子どもは自律する力がなく、お金の使い方が荒かったりだらしなかったりする傾向があると唱えました。

かなり昔の説なので、真偽は定かではありませんが、この時期の子どもたちが様々な場面で我慢や自己コントロールの力を身につけようとしているのは確かなことだと私は感じています。

「ダメ」だけではいけないし、「いいよ」だけでもいけない、

難しい時期にある子どもたちですが、小さな心に宿る様々な葛藤や思いに私たちも心を傾け、成長を促していける存在でありたいと考えています。

トイレトレーニングに限らず、「これってどうしたらいいの?」と感じることがあれば、いつでもお声掛けくださいね。

文責:津田

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