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2025.03.12

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錦ヶ丘の給食☆子ども主体の食育

錦ヶ丘ならではの「こだわりの給食」

今年度錦ヶ丘に入職しました、栄養士の吉田です。錦ヶ丘の給食に携わり気づいた事・驚いたことをシリーズ化してブログにまとめています。

私が錦ヶ丘に入職して一番印象に残っているのが、年長組(5歳児)に「グリンピースのさやとりしてきてね」と伝えると綺麗にさやと豆を分けてあっという間に給食室にもってきて、その日の給食にそのグリンピースが入ったことでした。

栄養士が詳しく下処理の仕方を伝えていないのにも関わらず、パッと活動ができたことがすごく不思議でした。

 

短大を卒業して栄養士になり、今まで他園でも子ども達と様々な食育活動を行いました。

おにぎりを作ったり、プランターで育てた野菜を使用したクッキングをしたり。

他園での活動は、食育=行事 ・ 食育=栄養士がするもの ・  食育=クッキング

と、どこか保育とは別の物で、食育は料理をすることと認識されているように感じていました。

職員にもその認識があったため、子ども達もクッキングは月に一度のお楽しみという感覚で、料理を完成させることが食育のゴールとなっていました。

そこで今回は、私が錦ヶ丘に入職し、【食育】に対しての考え方を改めて学んだことをご紹介します。

 

【食育】とは

食育とは、現在を最もよく生き、かつ、生涯にわたって健康で質の高い生活を送る基本としての「食を営む力」の育成に向け、その基礎を培うこと。

また、「食を営む力」を身につけるために保育所で求められていることは、

食事の時間の援助と他の保育活動の援助が全く別に行われたり、保育士と栄養士、調理員などの役割が不明確であっては、食育の目標を効果的に達成することはできない。したがって食育は、全職員共通理解のもとに計画的・総合的に展開されなけらばならない。

とされています。

冒頭で、なぜ栄養士が下処理の仕方を伝えていないのに子ども達ができるのかと疑問に思ったとお伝えしましたが、それは、錦ヶ丘の職員が【食育】を全員共通理解しているからだという答えにたどり着きました。

保育者自身がさやと豆の分け方を知っているから、子どもたちに下処理の仕方を伝えることができ、日常の保育の中で何回も経験することで、年長になる頃には給食室から伝えなくても下処理ができるようになる。栄養士だけが食育をするのではなく、全職員が共通理解のもと食育活動を行うことで、子どもたちに分かりやすく食に関することを伝えることができ、「食を営む力」の育成につながるのだと感じました。

たべてみたい!やってみたい!の気持ちを大切に

この写真は、年長が毎日お世話しているぬか床の味見をした時のものです。

ぬか床がまだ若い時は、塩や旨味がぬかになじんでおらずとても塩辛いです。

「ぬかってどんな味がするの?ちょっと食べてみたい!」という意見があったので、実際に食べてもらいました。

給食で出てくるぬか漬けの味を想像していたのか、思った以上のしょっぱさにこの表情😲

「まずい!」「これ食べられないよ」といろいろな声も聞こえてきましたが、これも経験の1つです。

このぬか床を美味しくするためにはどうしたらいいか、どうして給食室のぬか漬けはちょうどいい塩加減になるのか子どもたち自身に調べてもらい、引き続きぬか漬けのお世話をしてもらいました。

大人が「こうしたら美味しくなるよ」と教えるのは簡単ですが、自分で調べて実際にやってみることで身についていきます。

思わず「うわー✨」という声が聞こえてきそうな写真ですが、これは年少(3歳児)が米炊きに挑戦している様子です。

今は炊飯器のスイッチ1つであっという間に米が炊けますが、炊飯器の中では、米の対流があったり泡がぶくぶくしていたり面白い変化が行われています。

その様子を透明鍋を使用してガスコンロで炊くことで、米が炊けていく様子を観察することができます。

作られていく様子を見ることも大切な食育です。

 

日々の給食が食育

錦ヶ丘の給食室は、ランチルームの隣にあります。

給食が作られている様子を常に見ることができ、いい香りが漂う中午前中の活動を行う時もあります。

給食の時間になると、クラスに今日の献立の説明が流れ、3歳以上児になるとお腹が空いたタイミングでランチルームにきて給食を食べます。

この経験を通し【お腹がすくリズム】の育成に繋げています。

給食で使用する食材は、子ども達に下処理や収穫をお願いことが多いです。

玉ねぎの皮むきやかぼちゃの種とり、とうもろこしの皮むき、のはら園で育てている野菜の間引きや収穫など、たくさんの食材に触れる機会を、日常の保育の中に取り入れています。

活動の合間に塩麴を仕込んだり、クラスに声を掛けて「今日の給食に使うから、下処理お願いね」と野菜を渡すこともよくあります。

このように、0歳児から食材に触れる経験が多い錦ヶ丘だからこそ、大人が何も言わなくても下処理ができるようになり、食べてみたい・作ってみたいの気持ちが育まれ、食べることは楽しい!に繋がります。

好きな物を好きなだけ

過去のブログでも紹介しましたが、幼少期の味覚はまだ発達途中にあります。

好きな物を好きなだけと聞くと、食べたくないものは食べなくていいの?と思われがちですが、そうではなく嫌いな食べ物にも挑戦するけれど、強要はせず、食べられるものでお腹を満たし満足感を得ることで「食べるって楽しい」「生きることは食べること」を給食を通して学んでいます。

嫌いな食べ物に挑戦して食べられなくても、食べようとした姿勢を肯定するようにしています✨

五感を使った食育

👀見る👀

食事は、最初に視覚から入ります。視覚からの情報で美味しそう・美味しくなさそう、食べたい・食べたくないを見て判断し、食べるまでに至ります。

餅つきでは、近くで見て合図に合わせて手を叩いて年長が餅をついているところを応援しました。

活動を一緒にすることで、その場の雰囲気を味わい大きな杵や臼を見ながらもち米がつぶれて餅になっていく様子を見て楽しんでいました♪

今はできることが少なくても見ることはできるので積極的に取り入れています。

年長が餅つきをしている様子を見る0.1歳児

 

👃匂う👃

給食で使う食材を、できるだけ子どもたちの目の届くところに展示しています。

行事食を提供するときは、ゆずの器にしたり、茶葉の違いを展示したり行事にちなんだ給食を提供しています。

子どもたちは、食材を触った後必ずと言っていいほど匂いを嗅ぎます。

「いいかおり~!」「くさ~い!」とそれぞれの感想を大人に伝えたり友達同士で共感しあったり😊

食を通してコミュニケーションをとっている様子が見られます。

ゆずの香りを楽しんでいる4歳児

 

😋味わう😋

錦ヶ丘では、園庭で野菜を育てています。

収穫したての野菜は甘くてとても美味しいです♪

おもちゃを口に入れて遊ぶように、収穫したての大根も口に入れて遊んでいました。

大人が必ず側で見守りをしながら、あえて食べられない大きさで握らせることで誤嚥しないよう工夫しています。

のはら園で育った大根の味見をしている0歳児

 

✋触る✋

3歳児が味噌作りをしているところに遊びに来た0.1歳児。

押しつぶすことはまだできなくても、チャック付き袋の上から感触を楽しんでいます✨

ぐにゅぐにゅした感触が苦手な子もいますが、「こんなのもあるんだ」と知るきっかけ作りになります。

味噌作りをのお手伝いをした0.1歳児

 

👂聞く👂

米が炊ける音を楽しんでいる年少組。

最初は強火だったから大きく聞こえていた音もだんだん小さくなります。美味しく炊けた後は、お待ちかねの味見💕

自分たちで炊いた米は、頑張った分一段と美味しかったようです。

米炊きをしている3歳児

 

子どもの考える力

子どもは私たち大人が想像しているより面白い発想を持っており、子どもたちから学ぶこと・気づかされることも多くあります。

どうしたらおいしくなるのか、これからどんな味になるのか子どもたちなりに想像を膨らませ全力で食を楽しんでいる姿があります。

基本的に子ども主体で進めていき、毎日新しい発見と学びを身につけ【次はどうしたらいいのか】【この前はこうだった】と日々の経験が積み重なり次の活動へと繋がっています。大人は子ども達と一緒に考えたり、時にはヒントになる絵本をそっと準備したり、子どもの発想や発見を否定しないようにアドバイスするようにしています。

 

最後に

食育と聞くと、難しいイメージもあるかもしれませんが、日常の食事こそが食育に繋がっています。

食材に触れてみる、スーパーに行っていろいろな食材が並べているところを見ることも食育の1つです。

幼少期にした食体験は、これから生きていくうえでの糧になり、食を豊かにしていくと思います。日本ならではの四季を感じる食材や、行事食を積極的に給食でも取り入れ、次の世代へと受け継いでいくために伝えたいこと、私たちができることを日常の中に取り入れていきたいと思います。

 

参考文献:厚生労働省「楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針~」

 

今までのブログはこちらから

★1回目 錦ヶ丘の給食☆野菜の下処理/出汁 

★2回目 錦ヶ丘の給食☆手づくり豆乳マヨネーズ

★3回目 錦ヶ丘の給食☆なぜ牛乳を飲まないの??

★4回目 錦ヶ丘の給食☆1人ひとりによりそった離乳食

★5回目 錦ヶ丘の給食☆子どもの味覚形成と食べる時の姿勢

 

文責:吉田

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