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2021.12.28

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お米になるまで(5歳児 年長組)

とうとう鹿児島にも冬到来!寒さが増すなかでも元気に園庭で遊ぶ子ども達。「さすが!にしきっこ!」と、私達保育者は感心している今日この頃です。

新型コロナウィルス蔓延防止のため、10月から全員そろってのスタートとなった2学期でしたが、様々な活動を行うことができました。

 

今回はその中でも「お米」の生育に取り組んだ過程をお伝えしようと思います。

 

 

お米ができるまで


錦ヶ丘の3本柱の一つ、「食育」活動の一環として、年長組はお米を育て、食する活動を1学期から取り組んできました。田植えの様子はこちらをご覧ください。

 

田植えをしてから、「どのくらい大きくなったかな~」と稲の話をしたり、園で育てている稲の様子を毎日観察して報告してくれたりと、子ども達は稲の存在を忘れずに過ごしてくれました。

夏休みに入ると、田んぼの様子をご家庭で見に行ってくださり、色の変化や大きさを教えてくれる子どももいました。そんな中での蔓延防止発令。なかなかみんなで稲の様子を見に行くことができませんでした。

それでも園で育てている稲の変化や車で田んぼの近くを通った時の稲の様子を知らせてくれ、「早く食べたいな」と、期待に胸を膨らませていた子ども達でした。

 

 

さぁ、どうやったらお米になる?


残念ながら、今年は天気などの都合で稲刈りを行えませんでしたが、代わりに稲刈りに行った先生たちから稲を引き継ぎ、大きく成長した稲に子ども達は驚いていました。

初めて稲を間近で見た子ども達は、黄金色に実った稲穂をみて、「どこにお米があるの?」という疑問が… その疑問に間髪入れず、稲かりを体験したり、図鑑で調べた子ども達から、「ここだよ」と教えていて、私達保育者の出番はありませんでした。

何十年前には当たり前だったことも、お米を購入する時代に育っている子ども達には、知らないことや驚くことが多いようです。

お米がどこにあるかわかったら、次は「じゃあ、どうやったら白いお米になるの?」という疑問が…。この疑問にはちょっと黙り込んでしまった子ども達。そこで保育者の出番!

「実はね…」子ども達と一緒に、稲の生育の本を読みなおしながら、どうのように白いお米になっていくのか調べていきました。

 

 

脱穀~お米を食べるまで


稲穂からお米のみを取る作業を「脱穀」と知った子ども達と一緒に行ったことは、「手作業」での脱穀でした。

機械に掛けたら簡単なのはわかっています。でもせっかくなら、手作業の脱穀も体験しようとみんなで園庭に稲を広げ、脱穀を始めました!

 

初めは手で一粒一粒取っていきましたが、時間のかかる事!「前やったことがある!」と、今までの経験を思い出した子どもから、割り箸を使った方法の提案があり、脱穀作業はスムーズに行われました。

 

限られた時間の中で集中した子ども達は、何日間かかけて脱穀を終了。

精米もチャレンジ…したかったところでしたが、脱穀を頑張ったので、次は機械にも頼ってみようと、数名で近くの精米機に行きました。

 

持って帰ってきたお米を見て驚いたのは、その量… 「あんなに頑張って取ったのに、これだけ?」というのが正直なほど、ちょっとがっかりしていた子ども達でしたが、今度は「炊いて食べてみたい!」と意欲に変え、さっそく炊いて食べてみることにしました。

本当は、「おにぎりにして梅干し入れたい!」「鮭を焼いて、ふりかけて食べたい!」などの希望もありましたが、少量のお米からは実現できませんでした。

 

このことから、いかにいつもお腹いっぱいのお米をいただけているのかという大事なことに気づき、保育者も子ども達も有難いなと感じたのは大きな学びです。

少量でも、ふりかけがなくても「食べたい!」という気持ちは変わらず、洗ったり、水加減をみんなで測ったりて炊く準備をみんなで行いました。

 

 

そして炊飯器でなく、透明のお鍋でお米が炊ける様子を見ながら炊きあがるのを待ち…

「炊けたよ~!!」

しっかりと炊きあがったご飯!ピカピカのご飯! 嬉しそうに少しの塩で味付けしていただきました。

子ども達からはもちろん、「おいしい!」の声! みんなで本当に美味しくいただくことができました。

 

また、フェスタ(展示発表)でも脱穀を終えた稲を使って、稲のガーランドに変身!昔の生活のように、しっかりと再利用して最後まで活動を楽しむことができました。(SDGsの取り組み)

 

 

 

お米の生長で学んだこと


この一連の活動を通して、子ども達が学んだことは何でしょうか?

 

もちろん、稲が大きくなるまで自分達で管理したわけではありません。ご協力いただいた農家さんのお陰で、稲は生長し、ご飯となって子ども達が食べる事ができました。

種付けをして、田植えをして、脱穀をして、精米して、洗って、炊いて、初めてご飯となり、自分達の口に入る事。

たくさんの人のお陰でお米ができている事、食べる事ができている事。たくさんの人が関わりながら、食べる事ができている。

沢山の事を子ども達は学んだと思います。

そのおかげか、給食のご飯を残す子が本当に少なくなり、「おかわり!」と美味しそうに食べる子どもが増えてきました。

 

この幼児期の経験を大人になったときに鮮明に覚えているかは分かりませんが、きっと、手をかけて、愛情を注いで、食物を育てたことで、きっと子ども達は「食物」や「食べる事」を大事にすることを経験することができました。

便利になってきているこの世の中、なかなか体験できない「お米を育てる」という事が、子ども達の一生の思い出、一生物の経験になり、「食物」や「食べる事」を大事にし、成長してくれることを祈っています。

 

文責:桑元

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