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2022.11.09

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「算数」の土台とは?(年中、年長)

今年度も早いもので半年が経過しました。

年長の子どもたちの中には、「〇〇小学校に通うんだよ」、「ランドセルをおうちの人と見に行くのが楽しみ」など、少し先に訪れる「就学」という一大イベントに心を躍らせる子も増えてきました。

また、年中のクラスにいても、「1+1=2、だよね」と早くも足し算を覚えて保育者に披露してくれる子もちらほら出てくるようになりました。

「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」でも、

数量・図形・文字等への関心・感覚 という項目があります。スムーズに就学後の授業やお勉強に繋げていくためにも、幼児期のうちから数字や文字に触れておくことが重要であると考えられています。

ひらがなの練習をしたり、数を教えたりして就学の準備を一足先に行っているご家庭もあるのではないでしょうか。

さて、今回はその就学後の学習を見据えて、子どもたちにどんなことをしてあげれば良いかについて、簡単に紹介させていただけたらと思います。

今日は「算数」に着目してお話します。

 

数字を読める・書けるようになる前に

私は過去に児童発達支援の現場で療育などを行っていました。その中で出会ってきた子どもたちの中に、

数字を100まで数えられるし、書くこともできるのに、計算ができない

数字や+、-の記号は読めるのに、指を使わないと計算ができない

という悩みを抱えているケースが多くありました。

こういった課題の背景に、「数字や記号は分かるけど、量の概念が定着していない」というものがあります。

例えば「りんごが3個ありました」という文章を読んでみたときに、「3」という数字は知っているけれど、一体それがりんご何個分のものなのか、量がイメージができない状態を指します。

「いっぱい」と「すこし」、「大きい」と「小さい」、「長い」と「短い」などの概念が分からないままだと、どれだけ数字を覚えて書けたとしても、正しい理解には繋がらないと言われています。

就学に向けてできることとしては、まずは物の大小や長短、多い少ないなどの概念を理解していくことが必要となります。

「いっぱいのダンボール、持っていけるかな?」

 

錦ヶ丘での取り組み

この算数の理解に向けた取り組みについて、当園では特に何もしていません。

というのも、子どもたちは園でいろいろな遊びを経験する中ですでに算数の基礎となる力を獲得してきているため、大人が特別な教育や指導をする必要がないからなのです。

例えば錦ヶ丘の特色の一つであるのはら園での遊びでは、いろいろな植物を子どもたちが集めてきて、「こっちの葉っぱのほうが大きいね」とか、「この木の実をいっぱい集めて交換しよう」など、様々なやりとりが見られます。

時に「どっちが多く見つけられるか」などの競争をして遊ぶ様子もあります。このように、子どもたちは友だちと遊ぶ中で自然に量の概念を獲得してます。

また、錦ヶ丘では食育にも力を入れており、日常的に調理することが多いこともこれらの学びに繋がっていると私は考えています。

年長では日々の給食のお米を炊く取り組みを行っています。

少なかったお米が、お水を入れて火をかけたらふくらんで増える、

みんなが食べられるだけのお米を炊くには、このぐらいの量が必要だ、

など、食事の準備や調理は自然と量の概念が身に付く絶好の機会と言えます。

 コーナー遊びでも、おもちゃを友だちと分け合ったり、同じ種類のものを集めたりすることで、物の量やカテゴライズの力を養っています。

おままごとも大切な「量」を知る遊び!

 

ご家庭で取り組んでいただきたいこと

量の多い・少ない、長い・短いなどの概念理解は、体験や体感を通してでないと獲得できないと言われています。

ご家庭でも園と同様、特別な教育は必要ありません。ただ、お子さんの体験を保障してあげてほしいと私は願っています。

子どもの好きな場所に旅行に行く、といった特別なことでなくてもかまいません。

日々の食事のお手伝いを子どもにしてもらう、おもちゃのお片付けを自分でしてもらう、など小さなことが子どもたちの学びにとても重要な意味を持ちます。

自分で食べられる量のご飯を自分でよそう

家族の分の食器やお箸を用意してもらう

散らかした後のおもちゃをカゴに片付ける

など、子どもでもできる簡単なことの積み重ねが「算数」の学びの土台を作りますし、子どもたちにとっては「できた!」「やれた!」の楽しい体験となり、自信にも繋がります。

年齢に関係なく就学に向けて、「小学校でお勉強についていけるか心配」、「勉強嫌いにならないか心配」など不安なことやお困りごとがあれば、いつでもお声かけください。

一緒に勉強の土台づくりについて、子どもの目線で考えていきましょう!

文責:津田

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