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2022.12.07
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錦ヶ丘の表現~育てたい力②~

子どもの表現とは…なんだろう?
錦ヶ丘では、自分の思いを言語や音楽、絵画、造形などで表すことだけではなく、日々の生活や遊び、友達との関わりの中で、子どもが感じた事や思いを態度や言葉、様々な方法で相手に伝えていく事も表現だと捉えています。
表現の仕方は、子どもの年齢や発達段階によって様々です。
以前行った園内研修では、笑う、泣く、怒る、指差しをする、振り向く、触る、目を合わす、目で追う、嗅ぐなどの感情や仕草までもが子どもの表現にあがりました。
このように、改めて表現について考える事で、子どもの行為・生活そのものが表現であることに気付かされます。
今回は、子どもの表現についてエピソードをお伝えしたいと思います。
お人形の取り合いを通して
1歳児クラスには、ぬいぐるみや人形があります。
その中でも、特に人気の人形があります。ある朝、AちゃんとBちゃんが人形を巡って取り合いに… 互いに「○○ちゃんの!」と人形から手を離さずに自己主張のぶつかり合いになりました。
しばらく見守っていると、Aちゃんが人形を手にして、Bちゃんは、泣き崩れました。保育者は、泣いているBちゃんを抱きしめながら、「Bちゃん、お人形が欲しかったね。使いたかったね。」とBちゃんの気持ちを代弁しながら思いを受け止めることで、Bちゃんは他の人形で遊び始めました。
一方、人形を手にしているAちゃんは、泣いているBちゃんが気になる様子で、チラチラと様子を伺い、遊びに集中できない様子。「Aちゃんも使いたかったんだもんね。大丈夫だよ。」と保育者が声をかけることで、安心した様子で人形を抱っこして見立て遊びを始めました。
その日の夕方、お人形の置いてある保育室の穴蔵を「ここでも遊んでいいよ~」と開放すると、再びAちゃんとBちゃんが、例の人形をお目当てにやってきました。
先にお人形を手にしたのは、再びAちゃん。
すると...Aちゃんが、嬉しそうな表情をしながら、迷いなく人形をBちゃんに差し出しました。お人形を受け取り、嬉しそうな表情をみせるBちゃん。
そこに言葉は、ありませんが「どうぞ」「ありがとう」の会話が二人の仕草や表情から見てとれました。
「Aちゃん、ありがとう」「Bちゃん、嬉しいね」と、保育者は、それぞれの子どもに言葉をかけました。
このような、気持ちのぶつかり合いの場面では、「仲良くね!」「貸してっていうのよ!」「どうぞするのよ」なんて仲良く遊ぶための言葉をかけたくなりますが、保育者は危険のない限り見守り、感情の表出を発揮させるように関わっています。
再びAちゃんが人形を手にした場面では、「かしてあげようね」と、大人が先走って声をかけたくなりますが、ここは子どもの行動をそっと見守ります。
それぞれの子どもの立場から思いを代弁し、受け止める関わりを大切にしています。
喜怒哀楽の感情を発揮することで、自分の思いを相手に伝えようとする行動こそが、この時期の子どもの表現方法です。
そして、思いが溢れたその表現をしっかり受け止めてもらえる経験が大事です。自分の思いをわかってもらえているという安心感から、自分の思いを表現できるようになるのです。
このような経験を重ねていくことで、「こうしたい!」「自分は、こう思う!」と、自分の思いや考えを、あらゆる表現方法で伝える力が育まれていくのだと感じています。
物の取り合いというと、ネガティブに捉えがちですが、子どもは、いろんな人との関係の中で育ち、仲間との交流をとおして互いに育ちあうのです。(著書:こどもへのまなざし 児童精神科医 佐々木正美より)
このように、子ども同士の育ちあいのなかで「生きる力」を豊かに育んでいます。その「生きる力」は、表現そのものです。
そんな子どもの表現を捉えるにあたり、関わる大人の感性も豊かでないといけないなと感じています。
にしきっこフェスタでは、0~5歳児までの子どもの表現の世界を感じて楽しんで頂けたらと思います。
文責:山﨑