お知らせ

2023.07.31

Blog

子どもとの関わりで大切にしたいこと

この夏、こども園では園長、主任や園務担当職員が担当して、園の特色や大切にしていることについて研修を行なっています。

題して「錦ヶ丘研修」!

この研修のねらいは以下の3つ。

①認定こども園とはなんぞや?と、自園の特色がわかる。

②錦ヶ丘の保育や大人の関わりの基本方針がわかる。

③錦ヶ丘の保育活動の基礎的なことがわかる。

これを達成するために、7月〜9月にかけて、3回構成で研修が計画されています。

 

その中で私は、『子どもとの関わりで大切にしたいこと』について担当しました。今回のブログでは、研修の中でお伝えしたことから3つ、紹介したいと思います。

 

なぜ、関わりについて考えることが大切?

私たち保育者の子どもへの関わりには、以下の3つの役割があると言われています。

役割① 子ども自身の世界への信頼感を育む

大人の関わりによって、子ども達は基本的安心感を得ることができます。安心感が信頼感に繋がり、それが、他者・自然・物への関わりに広がり、心と身体の発達に繋がっていきます。

まさに、れんげ組(0歳児)の子ども達がその姿!入園当初は涙を流すことが多かった子ども達が、少しずつ信頼できる大人の存在を増やしながら、身の回りの物や人に興味を示し始めています。

役割② 子どもの自己イメージを作る

周りの大人があたたかい言葉を掛けることで、「自分は愛される存在だ」と感じることができるようになります。

これが、「自分は大切な存在だ」という自己肯定感や、「ぼくはできる!」という自己有能感等の、自分への信頼に繋がります。

役割③ 子どもの行動モデルとなる

子どもは周りの大人の様子をよく見て聞いています。ごっこ遊びで「この言葉遣い、私にそっくり…」と思ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

社会生活で一番身近な大人である保育者の、聞き方や話し方等が、モデルとして取り込まれます。行動や価値観における最も身近なモデルは、保育者なのです。

私たち保育者は、子ども達への保育を考える時に環境をとても大切にしています。何故なら、「幼児教育は、環境を通しての学び」と謳われているからです。

小学校以上の教育のように、教科書がありそれに沿って学びが進んでいくわけではない幼児教育は、目の前の子ども達の実態を把握し、興味関心を基にしながら、少し先の育ちを見据えて引き出したい姿や育てたい力を明確にして行われていきます。

 

ですので、どのような保育が行われていくのかは子ども達によって違って当たり前!そして、それを展開していく保育者によって違って当たり前なのです。

だからこそ保育者は、自分の専門性を高めながら、環境を工夫して整えていくことが求められています。

その環境は、

・保育室や戸外、準備する教材、棚の配置等の物的環境

・言葉掛け、触れ方、表情等の人的環境

この二つに大きく分けられます。

 

人的環境を整えるうえで、日々の関わりを見つめ直すことはとても大切なことです。そして、関わりを見つめ直すことは専門性の向上に繋がります。

専門性を高めることで、子ども達に合わせた環境が整えられる=保育の質も向上が図られます。

私たちの関わりは、人を育てることに直結します。それは、広い視野で考えると社会をつくることになると言っても過言ではないのです。

 

子どもへの関わりの基本的な考え2つ

子どもへの関わりの基本的な考えは、大きくこの2つが挙げられます。

肯定的な関わり

肯定的な関わりをするうえでのポイントの中で私が一番大切だと感じたのは、『ストレングス視点を持つ」ということです。

ストレングスとは、『強み』のこと。子どもの育ちを考える時に、できていないことや課題に目が行きがちですが、相手の強みや伸ばしてあげたいところに目を向けることで、未来を見て「じゃあどうしてみる?」を考えることができます。

子ども達一人ひとり、素敵なところが沢山あります。それを大切に育てていく大人でいたいものです。

相手を尊重し自己決定を促す関わり

「相手を尊重する」とよく言いますが、とても高度なことだと感じます。尊重するためには、相手を知り、信じ、待つことが必要だからです。

沢山のコミュニケーションをとりながら、相手のことを知り、相手の考えや価値観をまるっと受容することが尊重の第一歩だと考えます。

子どもも一人の人。「あなたはどうしたい?」と選べる・決められる環境をつくることで、「自分は信頼されている!」という気持ちにも繋がります。

 

そして、これらの基本的な考え2つから導き出されるキーワードは、『受容的・応答的・共感的』です。

『受容的』とは、相手の気持ちをそのまま受け止めることです。共感や同感とは異なります。

『応答的』とは、相手の言いたいことや心の動きを受け止め、応えるような関わりのことです。無視や否定は、応答的とは真逆のものと言えます。

『共感的』とは、相手の目で見て、相手の心で感じようとすることです。

子どもへの関わりの基本的な考えと言われますが、大人同士の関わりにおいてもとても大切なことだと言えます。私たちにとって子どもを見つめるパートナーである保護者、同僚。互いに気持ちを受け止めながら、同じ方向を見つめていきたいと感じます。

子どもと大人は対等

関わりの基本的な考えと共にある、錦ヶ丘で大切にしている考えが『子どもと大人は対等』というものです。

0歳でも5歳でも20歳でも60歳でも、同じ一人の人として尊重すること。

子どもはもちろんかわいい!けれど、かわいいだけの存在ではなく、立派な一つの人権を持った存在であること。

それを具現化している取り組みが、錦ヶ丘には沢山あります。

 

例えば「先生と呼ばない」。

5年前の北九州きのくに子どもの村学園の視察をきっかけに、こども園の職員は自分たちのことを「先生」と呼ばず「大人」や「わたし」と呼ぶようになりました。

先生と生徒、という肩書きからの関係ではなく、呼び方からフラットにしたい、そうすることで心理的な壁がなくなるのではないかと、きのくに子どもの村学園の堀理事長は仰っています。

 

また、着替え介助やオムツ交換などの、身体に触れる時には必ず一言声をかけることや、その場に参加している皆が対等で、自分の思いを伝え相手の思いを聞き合うサークルタイムも、『子どもと大人は対等』を具現化したものです。

一つひとつの取り組みに込められた意図に、関わりで大切にしたいことがあります。

 

他にも、チーム保育としての役割分担や、言葉掛けの段階、作業療法士 中鶴 真人氏から教えて頂く個別対応時の関わりのポイント等、一言で『子どもへの関わり』と言っても、錦ヶ丘で取り組んでいることや大切にしている内容は多岐に渡ります。

『何故その関わりをするのか?』『目の前の子ども達に合っているのか?』等、その一つひとつを紐解き、日々を振り返ることがいかに大切なのかを、研修の準備をしながら私自身が強く感じることができました。

 

正解のない幼児教育・保育の世界で、自分達の専門性を高めていくのは自分達次第!

目の前の子ども達のため、そして未来の社会のために、専門職として自分達ができることを丁寧に取り組んでいきたいと思います。

 

※参考文献・HP

・『改訂 保育者の関わりの理論と実践』高山 静子(著)

・『保育所保育指針 幼稚園教育要領 幼保連携型認定こども園教育・保育要領 解説とポイント』汐見 稔幸,無藤 隆(監)

・『幼保連携型認定こども園教育・保育要領ハンドブック』無藤 隆(監)

・サライ.jp【インタビュー】堀 真一郎(きのくに子どもの村学園長・79歳)「学年がない、テストも通知表もない。学校は楽しくなければならないのです」https://serai.jp/hobby/1082228

 

文責:迫田

当園についてや入園に関しては
お気軽にお問い合わせください