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2023.03.28

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小学校でものびのびと過ごすために(5歳児 年長組)

3月11日に行われた卒園式が昨日のことのように感じる今日この頃。

快晴のもと、保護者の皆様の温かな眼差しに見守られ、ちょっと照れくさそうな子どもたちの笑顔が印象に残っています。

桜の花も咲き始め、いよいよ「小学校」という新たな場所での生活が始まりますね。

今年度最後の年長組のブログなので、「何を伝えようかな」と悩みましたが、

私がこれまで働いてきた心理臨床の現場で学んだことを軸に、保護者の皆様や子どもたちの「これから」に役立つといいなぁと思う情報をお伝えしたいと考え、今回は「小学校での過ごし方」をテーマにしました。

新しい生活における子どもたちの心の変化を捉えるきっかけとなれば幸いです。

 

小学校に慣れるまで

私は昨年度まで小学校のスクールカウンセラーとして働いていました。

年度始まりの4月・5月の1年生の保護者の方からよくあった相談の一つが、

「授業中に座っていられないのですが、もしかして発達障害(ADHD)でしょうか?」です。

実際に、授業中の教室を覗きに行くと、1年生のクラスでは

かろうじて椅子に座っているものの、椅子をシーソーのようにして揺れている子、

椅子の上に正座したり、もとに戻ったりと姿勢が安定しない子が確かに多い印象でした。

しかし、「落ち着きがないなぁ」と思っていた子たちが、半年もすると50分程の授業をしっかり座って過ごせている様子があり、「一体、入学当初の心配は何だったんだ?」と不思議がる保護者の方もおられました。

小学校とこども園(保育園、幼稚園)は全く違う

このエピソードから考えられることは、子どもが「小学校」という新たな環境に慣れるまでには時間がかかる、ということです。

保育園や幼稚園、こども園での子どもたちの暮らしのメインは「遊び」にあります。

錦ヶ丘であれば、園庭やのはら園という自然の中で思いきり体を動かすことが当たり前だった生活から、就学した途端に机に向かう生活へと様変わりします。

また、保育者と子どもたちとの距離が近いため、対話と応答の繰り返しだった幼児期の人間関係も、就学すると「授業」という枠組みの中で、その時その場で感じたことを発信することが少なくなり、受動的に先生のお話を聞くことが中心になってきます。

この大きな生活の変化に適応するのに時間がかかる子が少なからずいるのですが、もちろんすぐに適応できる子もいます。

そのため、「他の子はちゃんと座れるのに、なんでこの子はじっとしていられないのだろう?」という疑問から、発達障害などを疑われるようです。

解決のヒント

もちろん、こういった例の全てに「障害の可能性はありません」と断言できるものではありませんが、障害の有無に関わらず、子どもたちが小学校という新たなシステムに慣れ、できる限り楽しく過ごしていくために、いくつか解決のヒントをお伝えできればと思います。

 

その1:余暇活動の充実を!

1年生の時点で落ち着きのない子たちへのアプローチとして、私はよくカウンセリングの時間を20分休みや放課後に設定していました。

その子の困りごとをカウンセリングするためではなく、授業外の時間を使ってその子のしたい遊びを思いきりさせてあげるためです。校庭で汗だくになって鬼ごっこをしただけで授業中の多動が落ち着いたこともあります。

遊びが中心だった幼児期での生活のエッセンスを、少しだけでも学校や家庭に入れていくことで、精神的にも身体的にも安定することがよくあります。

その2:スキンシップを大切に

新たな環境に身を置くことは、大なり小なりストレスを感じるものです。気持ちがソワソワしていると、姿勢や動きだって落ち着かなくて当然です。

大好きな家族にずっしり体を預けて落ち着く時間は、この頃の子ども達の心と体を支えるとても意味のある時間になります。

もう小学生なのに抱っこばっかり!と思わずに、お子さんとの抱っこやおんぶの時間を大切にしていただけると嬉しいです。

分離不安とも関連のある内容ですので、過去のブログもぜひご覧ください。(分離不安に関するブログはこちら

 

その3:一緒にいて心地よい相手をつくる

入学して間もない子の中には、「保育者と私」という関係から、「先生と (私を含めた) みんな」という関係の変化に慣れるまでに時間がかかる子もいます。

誰かと1対1であれば話せていたことも、小学生になると話せなくなったり、

先生からの指示や説明も、自分に言っていることだと気付くまでに時間がかかったりします。

そのため、困ったことや感じたことを1対1で誰かに話せる時間、好きな人とほっと一息つける時間があれば、学校の中でも安心して過ごせることがあります。

お友だち、担任の先生、保健室の先生(養護教諭)、図書室の先生(司書教諭)、事務室の先生、用務員、スクールカウンセラー・・・

その子にとって一緒にいて心地よい誰かを学校の中に見つけていくことも、より良い学校生活を送る手助けとなるはずです。

卒園後も、ご相談ください

新たな環境に身を置く不安は子ども大人も同じです。

小学生になったんだから、困りごとや心配ごとは小学校に相談しなきゃ!と思う必要はありません。

保護者の皆様にとって「あの人なら話がしやすい」と頭に浮かぶ誰かを頼っていただければ幸いです。

何かお力になれることがあれば、いつでも錦ヶ丘にお電話ください。

私たち保育者が子どもたちを大切に想う気持ちは、卒園しても変わりません。

春からの子どもたち、保護者の皆様の楽しい生活を応援しています!

文責:津田

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